空白期間を経て登場する市販バージョンへの期待に弾みつける
ニュル24時間レースにて究極の開発テスト実施
トヨタはもっといいクルマ作りと人材育成の促進をめざし、従来の「機能軸」ではなく「製品軸」で仕事を進めていく新体制への変更を16年4月に発表した。いわゆるカンパニー制の導入である。その後もEV事業企画室を立ち上げたり新興国小型車カンパニーを設立し、今年4月には「GAZOOレーシング(以下GR)カンパニー」を新設した。
GRとは「モータースポーツを通じて人とクルマを鍛える」をテーマに、モリゾウこと豊田章男・副社長(当時)と元マスターテストドライバーの成瀬弘氏(故人)が07年に発足させた、もっといいクルマ作りの活動のひとつだ。当初は同好会レベルで手弁当の組織だったが、地道な活動が実を結んで?小さなトヨタ?が?大きなトヨタ?を動かし、約10年でレクサス・インターナショナル
と同じ立ち位置にまで成長した。
トヨタが発表したニュースリリースには「モータースポーツ活動を通じて得た技術や技能を『走りの味作り』のための知見として蓄積し、自らの手で真のワクドキをお客様に提供できるためにクルマを開発し、投入できる体制を整備」とあるが、カンパニーになったことで、これまでのように理想のために夢を追い続けるだけでなく、会社の収益に貢献する使命も背負うことになった。
GRカンバニーは本誌でスクープしてきた新しいスポーツ・ブランド「GR」やBMWと共同開発中の新型スープラを手がけているが、じつはそのスープラに隠し玉が用意されている。それがFIA ? GT3マシンだ。