スクープ

2002年3月


ウィンダム改造ナゾのオープンカー
トヨタ
"覆面テストドライバー"が駆る
謎のオープンカーウインダム改を暴け!!
屋根のない、ショートホイールベースのウィンダム。これはいったい何なのか? それにしてもテストドライバーの姿がアヤシすぎる。帽子をかぶるくらいなら、ヘルメットをかぶったほうがいいのではないだろうか。
 

カメラマンからの第一報はじつに衝撃的だった。

「トヨタの新型スポーツを撮った!」

スクープ班は色めき立ってカメラマンの報告を分析しはじめた。とにかく、クーペではなくオープンモデルであったことはハッキリしている。そして、比較的"大柄なクルマ"であったこと。カメラマンが覚えているのは、それくらいのことだった。

「それは非現実的じゃない? あれってスタディモデルじゃないの?」 「でもベースをソアラにすれば、すぐ出てきてもおかしくはないよ。いまのトヨタはどんなものでも出してくる可能性がある。意外なモデルだって考えられなくはないと思うな」

「それにしたって…」

いや、それが現実ならば、こんな面白いことはない。テストコースには、どんなクルマが走っていてもおかしくはないのだから。もっとも「大柄なスポーツ」と聞いて、まず頭に浮かんだのが"ウワサの5000GT"だったのだから、決してヒトのことは言えない。

さて、しばらくするとカメラマンが写真を持って現れた。しかし、あまり表情がさえない。大スクープを撮ってきたんじゃなかったのか?「それが…。まぁ、見てみてください。なんだか妙なクルマなんです」

といって差し出した写真に写っていたのは、ルーフのないウィンダムだった。本誌で掲載するほかのテストカーと同じように、バンパー前面を黄色いネットで覆い隠し、グリルにはテーピングが施されている。それでも、ベースはウィンダムに間違いはない。しかし、そこに写っているテストカーは、単純に「ウィンダム・コンバーチブル」だなどと思えないほどのクルマだった。デキが悪い、というより雑なクルマなのだ。これは、何らかの先行試作車であることは間違いない。

もう一度写真をよく見てみよう。ボディのベースはウィンダム。少なくとも見かけ上はそう見える。しかもルーフがない。ルーフを切断した跡は…なんとガムテープが貼ってある。そして、後部座席のあたりであろうと思われる場所には、急造のロールバーのような逆U字型のパイプが据え付けられている。

さらによく見ていくと、リアドアが見当たらないことに気付いた。サイドシル後部もおかしな雰囲気だ。どうも、ウィンダムのルーフを切断したうえに、ホイールベースも短くなっているらしい。もしかしたら、ウィンダムのボディは単なる擬装で、シャシーはまったく別物。それこそ「FRだった」なんてことだって、あり得ない話ではない。あくまでも先行試作車だと考えれば、どんな可能性も否定できないのでは…。そんなふうに考えていた矢先、ひとりがこう言った。

「次期ソラーラかもしれないね」

 

ヘッドランプやグリル、ショルダーのプレスラインなどでもわかるように、ベース車は明らかにウィンダムだ。ただ、ウィンダムのコンバーチブル、というにはテストカーはあまりに雑なデキだ。

トヨタが東京モーターショーの目玉として出品したFXS。車格は比較的小さめだが、構造的にも写真のクルマとはあまりリンクしない。
 

大穴だ! ソラーラとは、先代カムリをベースに北米で生産・販売が行われているクーペ&コンバーチブル「カムリ・ソラーラ」のことだ。

カムリ自身は北米でも新型へと移行したが、ソラーラはまだ先代ベースのまま販売が続いている。

なるほど、カムリもウィンダムも基本は同じだ。となれば、ルーフのないショートホイールベース化されたウィンダムというのは、次期ソラーラ・コンバーチブルと「ほぼイコール」ということになる。

いや、まだあの妙なロールバーが気になる。さらに、テストドライバーがマスクと帽子で完全武装していたことも…。ま、それはテストコースにひどく花粉が舞い飛ぶだけだからなのかもしれないが。

 

これが先代カムリをベースとした北米専売のクーペ&コンバーチブルモデル「カムリ・ソラーラ」だ。カムリが新型へと移行してしまったいま、これの開発が進んでいてもおかしくはない。