読者O.TサンがJR広島駅前でキャリアカーを目撃したのは03年11月8日だった。上段にはアクセラが、下段にはアテンザが載せられていたが、ともに珍しい白ボディだった。そして、何よりも見逃せないのが、後方に積載されていた1台の怪しげなクルマ。O.Tサンが慌てて撮影し、編集部に送ってくれたのが右に掲載した写真だ。
早速、スクープ班で写真の分析を試みたものの、ここまでしっかりとボディカバーで覆われていては、透視能力でも持ちあわせない限り、読み取れる情報は少ない。しかし、いっしょに積まれていたアクセラおよびアテンザと見比べると明らかに小さく、ドアミラーと思われるカバーの盛り上がり部分も随分と後ろ寄りに見える。そこで見えた、ひと筋の光(すなわち結論)が3代目ロードスターだ。
「いや、現行モデルじゃないか」。スクープ班ではこんな声も出たが、カバー越しに透けて見えるリアデッキのシルエットに注目。現行モデル同様、中央部分が盛り上がっているが、妙にシャープなキャラクターラインが確認できる。また、フロントフェンダーにはサイドへと大きく回り込んだヘッドランプの目尻もかすかに見えるが、これまた現行モデルよりも鋭いラインを描いている。「そもそも現行モデルなら、ここまで厳重に隠して運ぶ必要性もないだろ」といった分析も。
かといって、第37回東京モーターショーに出品されたコンセプトカー「IBUKI」は丸みが強く、リアデッキにキャラクターラインなど存在しなかった。そんなワケで、スクープ班ではボディカバーの下に潜んでいたのは3代目にあたる新型ロードスターでは? との結論にたどり着いた。
ちなみに、このキャリアーカーが販売会社へクルマを配送する業務ではなく、メーカーの開発拠点を行き来していたことは上段のアクセラを見てもわかる。ハッチゲート随所にガムテープが貼られ、前後バンパーの下端が黒く塗られているなど、明らかに“売りもの”とは思えない出で立ちをしているからだ。
開発コードJ04Cを与えられている新型ロードスターは、すでに03年前半にシャシーテストが済まされ、年後半は現行車をベースにした先行試作(マツダでは“メカプロ”と呼ぶ)を用いての開発が進められてきた。今後のスケジュールは下に掲載したように、北米向けが先陣を切って試作段階に突入し、いよいよ3代目ボディをまとって正式なテストカーがコースに繰り出す。追って、セッティングが異なる国内向けと欧州向けも組み付けられ、同様の試験に使用される予定だ。
現行ロードスターにはライトウェイトスポーツならではの身軽な走りが味わえる1.6リットルと、不満のない動力性能を備える1.8リットルの2エンジンが設定されているが、FMCを機に排気量アップが実現することがわかった。つまり、3代目では1.8リットルと2リットルユニットが搭載され、 “スポーティ”から“スポーツ”へと位置づけが変わる。エンジンに応じて5速または6速MTが組み合わされるほか、イージードライブ可能な2ペダルMTと5速ATもラインナップ。ふたたびロードスターが世界を湧かせる日は1年半後の05年初夏にやってくる。 |