スクープ
2004年8月

 レジェンド  ホンダ
 プロトタイプ試乗記解禁の6日前にレジェンド右ハンドル直撃

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新型レジェンドを本邦初公開。次ページ掲載のアキュラ版と異なり、ラジエターグリルには太い横ルーバーと大きなHマークが装着されている。ヘッドランプには進行方向を照らすAFSを採用。

 新型レジェンドに触った。「な〜んだ、いまさら。4カ月も前にNYショーで披露されたじゃないか」と思ったキミ、車名をよく見てほしい。アキュラRLではない。レジェンドなのだ。そう、国内で発売される正真正銘の右ハンドル仕様だ。

 ホンダは日米でのティーザーキャンペーンに備え、7月下旬にマスコミ各社を北海道・鷹栖のテストコースに招いてプロトタイプの試乗会を開催した。新開発の4WDシステム「SH・AWD」(次ページのコラム記事参照)のデキをいち早くジャーナリストに確かめさせ、雑誌などマスコミを通じて発売前からアピールしようという算段だ。しかし、その解禁日は9月1日と定められており、1カ月以上もタイムラグがある。

 そこで、本誌スクープ班は独自ルートを駆使して新型レジェンドを直撃。他誌がメーカーとのタイアップで、プロトタイプの写真を掲載する6日前に、いち早く国内向けレジェンドのナマ写真を披露する。

 「ダイナミック・インゴット・デザイン」をキーワードに掲げた外観はカタマリ感にあふれ、堂々としたたたずまいを見せる。NYショーで公開されたアキュラRLと異なり、ラジエターグリルには太い横ルーバーが配されるとともに大きなHマークを装着。ちなみに、次ページに掲載したとおり、アキュラ版は細いルーバー4本から構成されるグリルで端正な顔つきに仕立てられている。

 ワイド感を強調するバンパーにはコンパクトな丸型フォグランプが内蔵されているが、その内側に横たわるエアインテーク内に注目したい。下に掲載した紺色のクルマの写真を見ると、何やら穴が開いているのがわかる。じつは、ここにはインテリジェンス・ナイトビジョンの小型カメラが内蔵されており、夜間走行時に歩行者や障害物の早期発見に役立つアイテムとしてアピールされる。もちろん、ホンダ初採用のオプションだ。装着車の生産はやや遅れて12月から立ち上がる。

 ところが、初公開のインパネ写真を見る限り、ナイトビジョンの映像が映し出される専用画面は見当たらないようだ。8インチのナビ画面ではドライバーの視点から遠く、かと言ってフロントウインドウに投影されるような機構も見つからない。その答えはナント、メーターバイザーから表示画面がポップアップするというのだ。写真では確認しづらいが、メーターバイザーにポップアップ画面の見切り線が設けられており、ナイトビジョン使用時のみ画面が現れる。

 傾斜したセンタークラスターや3眼メーターにより、コックピット全体はスポーティにまとめられている。ホンダ最上級のフラッグシップ・サルーンにふさわしく、インパネ中段には左右いっぱいに木目調パネルを設置。内装はアイボリー、グレー、ブラックから選択でき、いずれも木目調パネルが映える配色だ(アイボリー内装は本革シート装着車のみ)。国内向けに用意されるボディカラーは:
●プレミアムホワイトP
●セレスティアルシルバーM
●レイクショアシルバーM
●ナイトホークブラックP
●ロイヤルルビーレッドP
●オピュレントブルーP
の6色に決定している。
 スポーティ・テイストをもたらすアイテムのひとつとして見逃せないのがパドルシフトだ。新型レジェンドには全車、5速ATが搭載されるが、Dレンジ横のMゲートを選ぶとマニュアル感覚のシフトチェンジが行える。シフトレバーを前後に動かしての操作も可能だが、ステアリング奥に備わるパドルシフトを活用すれば手を離さずに済む。パドルシフトは右側が「+」(シフトアップ)、左側が「−」(シフトダウン)だ。なお、シフトレバーにはブーツが採用されており、これまたスポーティさを演出。ただし、輸出仕様ではブーツが省かれ、見た目に操作方向がわかりやすいオーソドックスなゲートが用いられる。

 乗員に快適なドライブ環境をもたらすべく、装備アイテムにも贅を尽くした品目が揃う。具体的には、オデッセイと同じく円形のプログレッシブ・コマンダーで各種操作が行えるHDDナビ、5.1ch対応BOSEプレミアムオーディオ、スマートカードキー、左右上下独立温度調整式のインテリジェント・デュアルフルオートエアコンなど、ライバル車に引けを取らない充実ぶりを誇る。リバース連動の自動防眩ドアミラー、進行方向に応じて照射角が変わるAFS、後方視界を確保したい時に便利な電動格納式リアヘッドレスト、サイド&カーテンエアバッグといった装備もおごられ、安全面への配慮も抜かりない。

 さらに、パッケージオプションを選ぶことで新型レジェンドのエレガントな雰囲気を極めることも可能だ。エクスクルーシブ・パッケージには1、パワートランクリッド、2、電動リアサンシェード、3、サイドサンシェード、4、本木目パネルの4点をセット。一方、アドバンス・パッケージは1、IHCC(車速&車間制御機能)、2、CMS(追突軽減ブレーキ)、3、eプリテンショナー・シートベルトの安全装備からなるセットだ。このアドバンス・パッケージにLKAS(車線維持支援機能)を含めたアドバンスHIパッケージも設定されるが、こちらは05年春から販売が始まる。このほか、単体オプションとして先述のインテリジェンス・ナイトビジョン、本革シート、電動サンルーフもラインナップ。

 SH・AWDによる安心感の高い走りが新型レジェンド最大のセールポイントだが、その動力源となるのは3.5リットルV6エンジンだ。巷では日本初の280ps超えを実現するのでは?とウワサされており、社内資料に記述されている「クラストップの動力性能」の文字からも期待が高まる。足まわりではフロントにダブルウィッシュボーン式、リアにマルチリンク式の各サスペンションが起用され、前後ともにスタビライザーを装備。タイヤサイズは235/50R17だ。

 10月上旬の発表・発売に向け、ホンダは9月初旬から各地で特別内見会および試乗会を開催する。いまのところ、9月5日に中部・関西・東北地方で、同12日に関東・九州・北海道で内見会を催し、同18〜25日にかけて試乗会を開催。また、発売後もクローズドコースで特別試乗体験イベントを実施するなど、メーカーが全面的に販売現場のバックアップを行っていく模様だ。「速く」「安全に」「快適に」目的地まで移動できるドライバーズ・サルーンとして登場する4代目レジェンドは、日米ともに高い注目を集める1台となるに違いない。COTY大本命と予想する。
フロントバンパーにナイトビジョン・カメラ内蔵

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インテリジェンス・ナイトビジョンのカメラはバンパーのエアインテーク内に組み込まれる。夜道で歩行者や障害物を早期発見するのに貢献するハイテク装備だ。

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5速ATにはスポーティなシフトレバーブーツを採用。Dレンジから右隣のMゲートにシフトすると、パドルシフトでのマニュアル変速が可能となる。
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センターコンソールにはオデッセイから採用が始まったプログレッシブ・コマンダーが見える。5.1ch対応BOSEプレミアム・オーディオが標準装備。

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本誌発売の6日後、9月1日から各誌に掲載されるであろう国内向け右ハンドルのインパネをひと足先に激写。スポーティな3眼メーターや8インチ・ナビ画面、木目調パネルも要チェックだ。 内装色にはアイボリー、グレー、ブラックの3つが用意され、ボディカラーを問わず、自由に選べる。 ただし、アイボリー内装は本革シート装着車のみに設定される専用カラーだ。
MT感覚のドライブもたらす5速AT+パドルシフト

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やや見えにくいが、ステアリング奥にはパドルシフトが備わる。右側が「+」、左側が「−」で、5速ATが意のままに操れる。そのほか、オーディオやナビの音声認識機能もステアリング・スイッチで操作可能。

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搭載エンジンは3.5リットルV6のみ。国産車初の280psオーバーもウワサされている。平成17年排ガス基準75%低減(4ツ星)レベルを達成。 パワートランクリッドは電動リアサンシェードや本木目パネルとのセットオプションだ。リモコンキーでの遠隔操作も行える。
新開発のSH-AWDってどんなシステムなの?
前後輪駆動力制御


同時かつ連続して

後輪左右駆動力制御

後輪に大きな駆動力を与えた場合

前後輪に均等に駆動力を与えた場合
四輪駆動力自在制御システム「SH-AWD」(スーパー・ハンドリング・オール・ホイール・ドライブ)をひと言で簡単に言ってしまえば、前後輪の駆動力を可変制御しながら、後輪の左右駆動力も可変制御する機構だ。前後輪の駆動力は70:30〜30:70の範囲で連続して変わり、後輪に配分された駆動力は左右100:0〜0:100の範囲で切り替わる。例えば、旋回加速時にアンダーステアが働いて車両が外側へ膨らみそうな時は外側後輪に多くの駆動力が配分され、曲がる力が発せられる。ちなみに、ランエボにもACD(電子制御油圧多板クラッチ付センターデフ)+スーパーAYC(後輪左右駆動力配分システム)が搭載されているが、「前後駆動力配分は50:50で基本的に固定されていて、圧倒的に広い可変範囲を持つSH-AWDには全く及ばない」「ラリーなどでの使用を想定しているため、一般使用では不自然に曲がる印象を受ける」とレジェンドのセールスマニュアルでは指摘されている。
北米向けアキュラRLの専用グリルも見逃すな

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アメリカ仕様ではヘッドランプ横にオレンジ色のサイドマーカーが装着され、バンパーにはヘッドランプ・ウォッシャーも内蔵。 まもなく北米で販売が始まるアキュラ版はラジエターグリル内の横ルーバーの本数が多く、中央のCIエンブレムも異なる。

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「ACURA」エンブレムをトランクリッド左上に装着。両出しエキゾーストでスポーティさを演出しつつ、メッキモールで高級感も。 リッド右側には車名エンブレム「RL」がつく。「SH-AWD」のマークは国内向けレジェンドと共通だ。

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当然「HONDA」の文字は省かれ、代わりにアキュラのCIエンブレムが装着されているエンジンヘッド。 シフトレバーに注目。国内向けに見られたブーツは採用されず、Mレンジのサブゲートも含めてゲート式だ。

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インパネ造型が国内向けと左右対称のアキュラRL。やはりインパネ中段を木目調パネルが横断している。
はみ出し情報 その1
ホンダ新型車の主な開発コードは以下のとおり。新型レジェンド:BN、次期NSX:DN(06年秋デビュー)、 次期シビック・フェリオ:UH、次期ステップワゴン:WW、中国産オデッセイ:GZ。
はみ出し情報 その2
05年発表予定の次期シビックはセダン(フェリオ)に集約され、5ドアHBはヨーロッパ専売車に切り替わりそう。国内ではフィットとエディックスが5ドアHB需要をカバーか。
はみ出し情報 その3
アコードは10月にも一部改良が行われ、開発コードYDの新型モデルにバトンタッチ。同時期にライフにも手直しが施され、開発コードKFの改良モデルが発売されるようだ。


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