スクープ

2002年6


NBC-VIII トヨタ
ヴィッツ派生ミニバンNBC-VIII
TOYOTA
日本企業で初めて経常利益1兆円を突破したトヨタ。相変わらず国産自動車メーカーNo.1の座に揺るぎはないようだが、他メーカーの成功作が気になって仕方ないようす。もちろん、トップの座を死守すべく、財力と人材をフル活用して多種多様な新型車の開発が進められている。
「打倒!モビリオ」目標に増殖し続けるヴィッツ家族
本誌が予想するトヨタ版モビリオの外観フォルム。コンパクト・サイズにたっぷりとした居住性が得られるよう、スクエアなシルエット・ラインが用いられるだろう。クラスを超えた質感の高さも確保されるはずだ。
 
トヨタがモビリオ対抗馬として開発を進めているのがヴィッツ・ベースの「906N」だ。03年夏の発売をめざし、得意の超・短期開発が進められている。とは言うものの、開発スケジュールにやや遅れが発生。当初は03年の夏商戦に間に合うよう、6月頃の発売を計画していたようだが、最新情報によると03年4月に1次試作、同5月に量産試作をこなし、8月に発売されるようだ。

「906N」の売りはモビリオと同じく、コンパクトなボディに3列シートを組み込んだ広い室内スペースだ。モビリオは、ベース車種となったフィット同様、燃料タンクを1列目シート下に配置することでクラスを超えた広大な室内空間を手に入れた。「906N」にはこれほどのエンジニアリング革命は期待できないものの、そこは先行人気車の強みを研究しつくして商品を出すトヨタのこと。3列目の居住性を含めたシートアレンジや室内装備などの点で、モビリオを凌ぐインパクトを身につけて登場するに違いない。

ボディデザインは、現行ノア/ヴォクシーなどにも見られる箱型を強く意識したものになりそう。もっとも、このクラスで広い室内スペースを狙うとなると、こういう手法しか残されていないのだが…。ちなみに、後席ドアにはラウムのようなスライド方式が採用される。搭載エンジンは1NZ-FE型1・5リットルの1タイプになりそうだ。

ところで、6月号で報じた「906N」の先行開発車両は、その後の情報で発売延期になっている次期ラウムとの見方が強まっている。ヴィッツやラウム、スパシオの部品が組み合わされている試作のため、スクープ班も判断に迷ったのが正直なところだ。

それにしても、トヨタの新車攻勢は今年もすさまじい。プラットフォームや部品の流用、設計技術の進化などで、売れているセグメントに対抗馬をすかさず投入する戦術に磨きがかかっている。ミニバン・フルラインナップでマーケットシェアを確保したうえ、モビリオの後発ながら月販4500台をめざす「906N」からは、「ホンダの独走を許すな」というトヨタの意気込みがヒシヒシと伝わってきそうだ。

 
コレが「秘」先行開発車両の正体だ!
スライドドア装備が検討されていることを証明するワンカット。ドアハンドルやサッシュ形状から見て、サイドには次期ラウムが使われているようだ。 先行開発車両のリア部分には現行スパシオが流用されており、まだ外観デザインが確定していないことを物語っている。
ヘッドランプやグリルが未装着のフロントノーズ。一見、ヴィッツに似ているが、ヘッドランプ形状などが異なる。これも次期ラウムか?! インパネそのものはヴィッツから流用され、走行テストを行うのに必要最低限なパーツのみが備わっている。
ウエストラインが途中でキックアップしているスライドドア内側。赤点線から後ろが現行スパシオの継ぎはぎ部分だ。 リアゲートを内側から見ると、改めて現行スパシオが暫定的に使われていたこと確認できる。当然、開口部形状も同じ。