magx scoop

2001年11月

GT-R

日産

GT-Rの量産プロジェクト真相暴く!!
ショー出品「GT-Rコンセプト」は“走るハリボテ”なのか!?

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GT-Rコンセプトより“引き締まった”イメージと、より現実的な要件を取り入れてスクープ班が予想した「新生GT-R」のエクステリア。5L V8NA搭載ならば、グリル開口面積はもっと小さくてもよいのだが…。

「ショーカーのデザインは、まだまだ”コンセプト“でしかない」

10月24日、午後１時。東京モーターショーのプレスデイ１日目を迎えていた幕張メッセ。西ホールの日産ブースには、異常な数の報道陣が集まっていた。これから行われるプレスブリーフィングで、日産が隠しダマを出す。しかも、それは『GT-R』だ――午前中には、報道陣の間にそんなウワサが広まっていた。

プレスブリーフィングの冒頭で初めて披露されたクルマは「GT-Rコンセプト」と呼ばれるものだった。「日産は次のGT-Rのためのプロジェクトを継続しています。それを世界のみなさんにお知らせしたい」そんな日産のメッセージが込められたコンセプトカー。次期GT-Rの存在が、公式に報道陣の前でアナウンスされた瞬間だ。が、それ以上のものではないことがやがてわかった。

約２週間にわたる会期中、この「GT-Rコンセプト」は日産ブースを訪れたファンの目と心を奪ったが、このクルマに関して日産はまったくスペックを公表していない。細かな仕様はもちろんのこと、ボディのディメンション、パワーユニットに関しても“公式データ”はひとつも発表されなかった――ナゼか。

何も決まっていないからだ。

いろいろな想定のもとに、このコンセプトカーは作られた。一応はサスペンションなど“動くシャシー”も付いたクルマではあった。でも、プロトタイプではなく、あくまで「やってます」という意思表示――それが、あのショーカーの真実であり、すべてなのだ。

では、ゴーン社長自ら「２００３年にはデビューさせる」と宣言した新生GT-Rとは、どんなクルマになるのだろうか。

「何も決まっていない」と前述したが、プロジェクトがまったく進んでいないわけではない。メーカーが発表できるほど具体的な内容は決定されていないが、徐々に、静かにプロジェクトは進行しているのだ。

GT-Rに関していちばん気になるのは、そのスタイリングだ。

プレスブリーフィングで「GT-Rコンセプト」が登場した瞬間、報道陣からどよめきが起こった。一般公開で見たみなさんも、迫力のある外観に息を飲んだことだろう。

しかし、ある開発関係者によれば「あれはあくまで原案、というかイメージをカタチにしたもののひとつ、と思ってください」という。なるほど、よく見ると「GT-Rコンセプト」のシルエットは、Ｒ34GT-Rのキャビン後半を絞り込んで、ゴツくしただけのようにも見える。特徴的な鋭いタテ目ヘッドランプの代わりに横長ランプを入れてみると……ソックリだ。

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モーターショーの隠しダマとして衝撃的に発表されたGT-Rコンセプトだったが、それは“メッセージ”以上のものではなかった。開発もまだ初期段階といったところか。	GT-Rコンセプトのフロントデザインは、よく見るとＲ34GT-Rにそっくり。それほど新しいものではない。

「もっと引き締まったスタイリングに。速さのイメージを残しながら…」

実際の開発現場では、いままさにデザイン検討が行われているところだ。“コンセプト”は、その初期原案の中のひとつにすぎない。まだ、採用とも不採用とも決まっていない。

デザイン部門に関わる、ある人物が漏らした新生GT-Rのイメージは「単純に従来の“GT-R観”を継ぐものではなく、もっと引き締まった本物のスポーツカーを目指す」というもの。だからこそスクープ班では、今回発表された「GT-Rコンセプト」のデザイン――あまりにもＲ34GT-Rを意識したものに見える――を“これはありえない”と見たわけだ。

エクステリアのデザインをフィックスするためには、イメージを固めるだけではダメだ。“上モノ”であるボディのカタチを決めるには、基礎が必要なはず。そう、プラットフォームだ。「新生GT-Rのプロジェクトは動いている」が、まだプラットフォームの基本設計が固まっていない。もちろん、先行開発によるデザイン提案はできる。しかし、新生GT-Rのデザインはまだまだ、大きく変わっていくはずだ。

GT-Rコンセプトのフロントデザインは、よく見るとＲ34GT-Rにそっくり。それほど新しいものではない。

モーターショーの隠しダマとして衝撃的に発表されたGT-Rコンセプトだったが、それは“メッセージ”以上のものではなかった。開発もまだ初期段階といったところか。

「“コンセプト”とは違って、やはり実際にはV8のほうが…」

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“唯一の継承者”として丸型テールの採用は「あり」だろう。ただし、ウイングは派手なものを付けたい。「わかりやすい」アイデンティティこそ、GT-Rには必要なのだ。

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スカイラインでは採用されなかった丸型テールランプがGT-Rに復活か!?と話題を呼んだ。内蔵式可変ウイングはファン心理としてはいかがなものか…。

「メカ関係はまったく手つかず。プラットフォームでさえ、これから…」

新生GT-Rのもうひとつの焦点は、そのパフォーマンスがいかなるものになるのか、ということ。

Ｒ32型スカイラインの派生モデルとして復活して以来の「超ハイパワーエンジン＋４ＷＤ」という組み合わせは、もはやGT-Rの絶対条件だ。これだけは、スカイラインの名が消えてもハズせない。

そして、そのパワーソースであるエンジンはどうなるのかが、いまもっとも注目されるポイントだ。

「GT-Rコンセプト」では、搭載エンジンについて、いっさい発表されていないが、Ｒ34GT-R同様の２分割大開口グリル、そしてフェンダーに開けられたエア抜き穴の存在はＶ６ツインターボを想定したディテールだと考えられる。実際“コンセプト”のデザイナーにも、そういう想定指示があった、とも聞く。

しかし、新型フェアレディＺが３.５L、ステージア４ＷＤが２.５LターボのＶ６を搭載。どちらも２８０psのカタログパワーを発揮しているとなれば、日産のフラッグシップとしては、Ｖ６ツインターボではイメージ的に役不足は否めない。

一方、「レースで必勝」という“GT-Rの使命”を考えるとＶ６ベースでは限界、という説がささやかれている。そこで、やはり可能性が高いのは５L級Ｖ８の搭載だ。もっとも有望なのは、Ｒ３９１やインディなどでも活躍したＶＲＨ系のレーシングエンジンを再設計する方法かもしれない。もともと市販車用ＶＨ系エンジンをベースとしたものだが、信頼性も高く、日産のトップパフォーマーにはふさわしい。またレーシングマシンへのコンバート時にも都合がよいはずだ。

ただ、問題もないわけではない。ベースとなるスカイライン系プラットフォームそのままでは、エンジンベイにＶ８が収まらない。また、重量の関係から搭載位置もＶ６とは異なってくる。つまり、GT-Rの開発作業はこのあたりを見直すことからはじめられているということだ。

来夏デビューを予定している新型フェアレディＺがコンセプトとして現れたのは01年１月のこと。03年デビューを目標としているGT-Rが“ショーで見せられるクルマ”になるまでには、もう１年近くかかるとスクープ班は予想している。

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左ハンドル、2ペダル…このふたつは実現される内容だという。左ハンドルは欧米などへの輸出を意味するもの。2ペダルはステアシフト採用の証だが、「P�R�N�D」表示があるから、機構的には単なるATということか。	フェラーリの「セレスピード」は構造的にはATではなく、自動断続クラッチ付きMTだ。シフトもボタンではなくパドルで行う。

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現在の日産V8エンジンといえばシーマ用VK45DD（写真）だが、これではGT-Rには使いものにならない。どちらにせよ再設計を迫られるなら、耐久性もある5LレーシングエンジンVRH50をストリートタイプとしてリファインするのが、GT-Rにはふさわしい。

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