乗用車デザイン本部長にオリビエ・ブーレイ氏を迎え、01年の東京モーターショーでデザインの新しい方向性を示した三菱自動車。一連のリコール騒動やダイムラークライスラー社との業務提携にともない、一時は数多くのプロジェクトが中断された時期もあったが、そんな雲行きの怪しい状況も乗り越え、ようやく活力を取り戻し始めた。
そんななか、三菱社内で動いているプロジェクトのひとつをキャッチ。新型モデルに与えられた開発コードは「XP」――市販名グランディスだ。周知のとおり、三菱はミニバンブームが始まるずっと前、83年に乗用車ベースの3列シート・ミニバン、シャリオをリリースした。当時、日産が82年にプレーリーを発売したばかりで、トヨタやホンダにはバッティングするクルマがなく、ピープルムーバーと言えばまだまだキャブオーバー型ワゴンが主流だった。その後、91年に2代目シャリオが誕生し、現行モデルは「グランディス」のサブネームを得て97年10月、3ナンバー車となって登場した。
4代目にあたる次期モデルは、早ければ03年にも登場する。車名からシャリオが消滅し、「三菱グランディス」として新たなスタートを切る可能性が高い。eKワゴン同様、短期開発が進められているが、内外装デザインはまだ検討段階にあるようだ。しかし、モーターショーに出品されたコンセプトカーが三菱デザインの新潮流を示したとおり、そのデザインを察することは可能だ。
まず、フロントマスクを表情豊かに見せるため、CIエンブレムが大型化され、そこを起点に存在感あるキャラクターラインがボンネットフードを縦断。Aピラーは思い切って前に出され、ショートノーズ&ロングキャビンが強調される。また、これまで三菱車はプレスラインを多用して抑揚あるデザインを演出する傾向にあったが、一転してシンプルになり、強烈な個性はトーンダウン。代わって万人受けするテイストが重んじられ、柔らかさを感じさせる曲線が現行モデル以上に用いられる。
パワーユニットは現行モデルと同じく、オーバー2リットルの直4と3リットル級V6の2本立てになる可能性が高い。ダイムラークライスラー社との業務提携により、2リットル以下は三菱の担当に決まっているが、2リットルを超える大排気量エンジンやV6ユニットの担当は未決のため、どこのエンジンが載るかは微妙だ。ただし、クルマ本体の生産は引き続き愛知県・岡崎工場、エンジンの生産は滋賀工場で行われるとの情報があるため、少なくとも次期モデルではまだ三菱製エンジンが搭載されると考えて間違いないだろう。
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