スクープ
2003年10月

NEWガイア トヨタ
ノア/ヴォクシー並みの広々キャビン実現するNEWガイアのカラクリ

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新型ガイアは実用性の高さを外観からもアピールすべく、あえてノーズの存在感が強調される。スポーツグレードにはオーバーフェンダーやエアロパーツ、大径アルミホイールも装備されて精悍な雰囲気がかもし出される。

 クルマはFMCを機に、必ずといっていいほど進化する。競争の激しいミニバンならなおのこと、進化の度合いは著しい。多くのヒット車の陰で存在感が薄れたガイアも、新たなパッケージングをまとって大変身を遂げようとしている。

 98年5月、初代イプサムの兄弟車として登場したガイア。当時のイプサムもそうだったが、現在のウイッシュ、ストリームと同様にセダン発展型のミニバンに分類され、セダンから乗り替えても違和感のないドライビングポジションや取り回しやすさが魅力だった。しかし、一方でキャビンや荷室の広々感ではノア/ヴォクシー、ステップワゴン、セレナなどの背高ミニバンには当然ながらかなわなかった。

 2代目ガイアは日本人にはいまなお根強い人気の「5ナンバーサイズ」という初代のコンセプトを引き継ぐものの、クルマ作りはまったく別モノと言わんばかりの変わりようを見せる。なかでも、大幅に拡大されるキャビンスペースは注目しておきたいポイントだ。

 具体的には、全高を10mmアップにとどめながら、ノア/ヴォクシー並みの室内高を確保。そのカラクリは床面を下げる点にある。荷室床面高では現行ガイアの720mm、ウィッシュの650mm、ストリームの685mmに対し、新型ガイアは600mmを実現。運転席のヒップポイントも、現行モデルの660mmが新型では600mmに低下する。この結果、1列目シートの頭上高は現行の100mmから175mmに拡大。これは仮想ライバルとなるストリームの160mmやステップワゴンの155mmを上回り、さらに陣営内ライバルのウィッシュを55mm上回る。3列目シートの頭上高もウィッシュやストリームに比べて2倍強を確保している。

 この驚異的なパッケージングに加え、10月号でお伝えしたユニバーサルデザインの助手席側Bピラーレス構造が組み合わされば、国産ミニバン随一の実用性が実現するのは想像に難くない。そしてタンブル式の助手席&2列目シート、トヨタとしては初めてとなる反転床下収納式3列目シートも備わり、多彩なシートアレンジと相まって使い勝手に優れた1台に仕上がるのは請け合いだ。ウィッシュと同じコンポーネンツを活用しながらも、パッケージングと使いやすさで大きく差別化を図っているのが印象的で、トヨタらしい商品展開の上手さがにじみ出ている。

 搭載エンジンは1ZZ-FE型1.8リットル直4と1AZ-FSE型2リットル直4直噴の2種類。1.8リットルには4速AT、2リットル にはCVTが組み合わされ、いずれもFFと4WDが選択可能だ。また、ウィッシュ同様、2リットル車にはオーバーフェンダーやエアロバンパー、ブラック内装などを採用したスポーツグレードもラインナップされる。上に掲載した確定イラストは、その勇ましい姿を再現したものだ。

 トヨタでは月販目標台数4000台のうち、8割程度をFF車で見込んでいるようだが、同じFFでも上級モデルの2リットル車を量販グレードにしているところが面白い。ウィッシュは1.8リットル車がメインに据えられているが、CVT生産が軌道に乗って商品性が安定するのを見計らい、ガイアでは2リットル車がイメージリーダーに持ち出されるのだろう。

 ちなみに、新型ガイアはイメージ刷新策として名称変更も検討されており、そちらの行方も気になるところだ。

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10月号で報じたように、ラウム同様、助手席側Bピラーが省かれて使いやすいボディ構造が用いられる。助手席と2列目シートはタンブルさせることも可能だ。

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タンブル可能な助手席シートにより、大きな荷物を積み込んだり運転席からスライドドアへのウォークスルーが行える。 オデッセイやMPV、グランディスで採用されている床下収納式3列目シート。トヨタは新型ガイアで初めて用いる。
■新型ガイアの月販目標台数(編集部予想)
駆動方式 搭載エンジン トランスミッション 月販目標台数
FF 1ZZ-FE型(1.8リットル直4) 4速AT 1200台 4000台
1AZ-FSE型(2リットル直4) CVT 2000台
4WD 1ZZ-FE型(1.8リットル直4) 4速AT 300台
1AZ-FSE型(2リットル直4) CVT 500台
『新型ガイアとライバル車の室内寸法比較(編集部予想)』
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●はみ出し情報 その1●
新型ガイアは1.8リットル4速ATが180〜198万円、2リットルCVTが200〜225万円程度で売り出される予定だ。
●はみ出し情報 その2●
床下収納式3列目シートはグランディスと同じく、操作力の軽い左右分割タイプとなる見込みだ。


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