スクープ
2003年 7月

キューブ3 日産
4月号の車名スッパ抜きから5カ月 キューブ3(キュービック)激写
個性的なデザインがウリのキューブに3列シート装備の派生モデルが存在する―そんなウワサを聞きつけて以来、スクープ班では地道な情報収集を行い、4月号で車名キューブ3を他誌に先がけてスクープ。そして、デビューを2カ月後に控えた今回、ついにナマ写真で実車を捕らえることに成功した。

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キューブ3のフロントマスク。格子状のグリルが備わるオリジナルのキューブとは異なり、横線基調の落ち着いたグリル・デザインが与えられる。バンパー内エアインテークもボディ同色化。

 待望の接近撮に成功したキューブ3は、ホントに外観デザインがそのままオリジナルのキューブから踏襲されていた。“カドのマルい四角”が随所に使われた外観、リビングルームのような高い開放感を持つインテリアはともに健在で、先駆車モビリオとは趣向の異なる1台に仕上がっていることが改めて確認できた。その臨場感を少しでも読者のみなさんに伝えたく、こうしてナマ写真を並べたというワケだ。

 デザインそのものはキューブと変わりないとは述べたものの、フロントマスクをじっくり眺めてみると、何かが違う。なぜかキューブよりも落ち着いて見えるのだ。それもそのはず。ラジエターグリルが格子デザインからキューブ3専用の横線タイプに差し替えられている。もちろん、グリル内に置かれているクリアレンズのターンシグナルや両サイドのヘッドランプはキューブ・シリーズを印象づける大切なデザイン要素として踏襲。また、バンパー内のエアインテークがブラックからボディ同色に変更されているのもキューブ3ならでは。

 オーバーフェンダーを思わせるボディ側面のホイールアーチ、横開きバックドア、格子デザインのアルミホイールはキューブから受け継がれ、エクステリア全体のモダンな雰囲気は守り通されている。

 ドアを開け、3列シート装備の確たる証拠としてインテリアの撮影も漏らさずに行った。運転席から振り返ってみると、2列目シートの後方、バックドアとの間に3列目シートが備わっていることも確認。1列目および2列目よりも大きいヘッドレストが装備されているのも印象的だ。その3列目シートは前倒し操作だけで格納でき、モビリオのように2列目をスライドさせて格納スペースを作り出すといった煩雑な操作は必要ない。

 2列目シートはクッション引き起こしの左右分割ダブルフォールディング式なので、3列目格納と併せれば奥行き1380mmの広大なラゲッジスペースが確保できる。また、3列目を使わない時は後方へスライドさせることで広い足元スペースが生まれたり、1列目をフルリクライニングさせることでデッキチェアのようなフラットモードにもなったりと、さまざまなアレンジが楽しめる。オリジナルのキューブ同様、特大サイズのアームレストが1列目と2列目に装備されるのも忘れずにチェックしておこう。

 スクープ班は4月号で車名をキューブ3と報じ、その読み方を単純明快な「キューブ・スリー」と掲載してきた。今回の撮影ではバックドアに装着されているエンブレムも捕らえ、ネーミングが間違いないこともわかったが、読み方は「キューブ・キュービック」が正しかった。当然、「3」には3列シートの意味も込められているが、より広い空間が実現されたことを受けて体積・容積を表す「3乗」に由来しているのが本来の意味だとか。

 ボディサイズは下に掲載したとおり、ホイールベースが170mm伸ばされており、同じく全長も170mm長い3900mmとなる。搭載エンジンはキューブ同様、CR14DE型11.4リットル直4の1種類で、トランスミッションは4速ATとエクストロニックCVT-M6から選べる。なお、重量が100kgほど重くなっている分、10・15モード燃費は若干低下する。

 インテリアは先にナマ写真をご覧いただいたが、スクープ班ではスタジオ撮りされたカタログ写真も手に入れた。これまたキューブとやや印象が異なって見えるのは内装カラーが変更されているからだ。現行キューブにはエクリュ、モカ、グラファイトの3色が設定されているが、キューブ3では専用色カフェラテがラインナップされる。ファミリーユーザーに受け入れられやすい明るいカラーで、キャビンの広々感も強調。もっとシックなインテリアを望むユーザーのために、チャコールも併せて設定される。

 インパネはP字型クラスターを中心に、3DIN分のオーディオ・スペース、コラムシフト、シンプルなアナログメーターで構成されて疲れにくい運転環境を確保。若者がターゲットに定められているキューブは、選ぶ楽しさを残しておくためにオーディオがオプション設定となっているが、キューブ3ではその煩わしさを解消すべく、CDチューナーが標準装備される。若者とファミリーユーザーでは、オーディオに対するこだわりの違いもあるからだろう。ドアトリムにファブリックが貼られてソフトな雰囲気がかもし出されるのも、現行キューブとの大きな違いだ。

 ボディカラーはキューブ同様、全8色から選択できるが、ビーンズやパプリカオレンジMといったマーチゆずりのカラーは設定されず、代わりに高い質感を予感させるユーカリグリーンM(日産初採用)、ソードメタルM、ルミナスレッドMが専用色として用意される。どのボディカラーに対しても、内装はカフェラテとチャコールから自由に組み合わせられる。バリエーションは2グレードに絞られ、キューブに用意されている廉価モデル「BX」は設定が見送られて「SX」と「EX」に集約。「EX」にはオートエアコン、プライバシーガラス、アルミホイール、インテリジェントキーなど、トップグレードにふさわしい上級装備が満載される。

 最後にドレスアップ・バージョン「ライダー」について触れておこう。現行キューブにも設定されているライダーはオーテックジャパンが手がけるモデルで、コンプリートカーとして買えるのが大きな魅力だ。キューブ3にも同内容で設定され、メッキ仕上げの専用グリルやエアロバンパー、サイドシルプロテクター、光輝アルミホイールといった個性を強調するアイテムが数多く装備される。内装でも専用シート表皮&トリム、本革巻きステアリング、CD&MDオーディオがおごられ、ベース車との差別化が図られる。

 03年に入ってから、新車販売台数で毎月5位前後にランクインしてきたキューブ。若者に加え、ファミリーユーザーの熱い支持も得ることで、ますます快走ぶりに拍車がかかるだろう。9月のデビューが待ち遠しいゾ!
現行キューブ

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ヘッドレスト付の3列目まで全シートを初めてキャッチ

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これが本邦初公開となるキューブ3のインテリアだ。縦長ヘッドレスト付の3列目シートが後方に見える。シート表皮は立体感あるワッフル調織物だ。

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3列目を格納した状態でも2列目シートは後方にスライド可能。ゆったりとした足元スペースが確保できる。 3列目の格納に加え、2列目シートをダブルフォールディングさせれば奥行き1380mmのラゲッジスペースが生まれる。

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2列目シートは左右分割タイプなので、片側だけを折りたたむこともできる。長尺物を積む時に便利なアレンジだ。 2列目をダブルフォールディングさせ、3列目シートに座ればオットマンとして足が伸ばせる。くつろぎたい時に。

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既報ネーミング大正解を証明する
車名エンブレム

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センタークラスターにはオリジナルのキューブと同じく、3DINスペースが設けられてカーウイングス・ユニットも収まる。キューブ3はオーディオも標準装備。 4月号でスクープした車名が正解だったことを証明するワンショット。バックドアのハンドル付近、左下にエンブレムが装着される。

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格子デザインのアルミホイールや張り出したホイールアーチは現行キューブからそのまま踏襲。
キューブとキューブ3の寸法比較(編集部予想)
  キューブ キューブ3
全長(mm) 3730 3900
全幅(mm) 1670
全高(mm) 1640 1645
室内長(mm) 1870 2360
室内幅(mm) 1340
室内高(mm) 1265
ホイールベース(mm) 2430 2600
最小回転半径(m) 4.4 4.7
車両重量(kg) 1070<1080>〜
1060<1070>
1170<1180>〜
1160<1170>
10・15モード燃費(km/リットル) 16.4<17.2> 16.0<16.8>
<>はエクストロニックCVT-M6
キュービックだけに専用設定 開放感ある内装色カフェラテ

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現行キューブには設定されていないキューブ3だけの専用内装色がカフェラテだ。ファミリーユーザーにもマッチしそうな開放感ある明るいインテリアが印象的。3列目シートも要チェックだ。 インパネではベージュMに塗装されたP字型クラスターが目を引く。丸型ヒーターコントロールパネルやドット模様が刻まれたグローブボックスはオリジナルのキューブと共通だ。

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カフェラテのほか、チャコール内装も選べる。チタン調のクラスターをはじめ、インテリア全体にクールな雰囲気が漂う。
ショートでは選べない3色の専用ボディカラー

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ユーカリグリーンMは日産初採用の新色だ。明るい色調がプレーンなキューブ3の外観をスマートに演出。

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ウイングロードでおなじみのソードメタルM。硬質な雰囲気がもたらされ、乗る人を選ばない。 全8色の中でもっとも鮮やかなのがルミナスレッドM。プリメーラに採用済みの深みのある赤だ。
オーテックVerライダーにも注目
オーテックジャパンが手がけるドレスアップ・バージョン「ライダー」はオリジナルのキューブ同様、キューブ3にも設定される。メッキ仕上げの専用グリルやスポイラー一体エアロバンパー、サイドシルプロテクターが外観を精悍に演出。また、内装にも専用シート表皮や本革巻きステアリング、CD&MDオーディオが用いられて差別化が図られている。人と違うキューブ3が欲しいなら、ぜひともチェックしたい1台だ。

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ラジエターグリル、バンパー、ヘッドランプ・ハウジングが変更されてベース車とは異なる表情を見せるキューブ3ライダー。

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インテリアには専用シート表皮のほか、専用ドアトリムやメタル調パーツも装備される。内装色はグラファイトのみ。
●はみ出し情報 その1●
ホイールベース延長および重量アップにともない、スタビライザーの剛性が高められている。また、前後サスペンションのバネ定数やショックアブソーバーの減衰力も変更。
●はみ出し情報 その2●
2列目シートは220mm(20mm×11ノッチ)のスライドが可能で、モビリオの260mm(37mm×7ノッチ)より移動量は少ないものの、ノッチ数が多くて微調整が行いやすい。フロントシートも220mmスライド可能。
●はみ出し情報 その3●
日産が力を入れている撥水加工シートはオプションで用意される。パンク修理キットもオプションで選べる。


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