スクープ
2004年11月

 シビック  ホンダ
 プリウス似のワンモーションフォルムとオデッセイ譲りの低いマスク得て
市民のクルマ シビック反撃

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ワルっぽい雰囲気のオデッセイに似た顔つきと先進的なワンモーションフォルムを合わせ持つ新型シビック・フェリオの予想イラスト。寸法は5ナンバーサイズが踏襲されるようだ。

 まずはイラストを見てほしい。これはミニバンの新造形? それとも斬新さを狙ったコンパクトカー!? ―正解は、自動車のカタチとして最も基本的な3BOXセダン。じつは、ホンダが05年8月の発売をめざして開発している新型シビック・フェリオ(社内コードUH)なのだ。

 1,エンジン、2,キャビン、3,トランクスペース、という3つの“箱”を持つことが語源となっている3BOX。最近では新型クラウンが売れているとは言え、市場全体ではミニバンや2BOXコンパクトカーに押され、白いマークII3兄弟が飛ぶように売れた80年代の面影はない。しかし、発想を転換すれば、人気が衰えたセグメントだからこそ、魅力的なモデルを投入すれば指名買いが見込める、との理論も成り立つ。とくに、独創的なアイデアで市場を切り開くことを命題とするホンダにとって、3BOXセグメントでのヒット車はぜひとも欲しいところだ。

 ただ、関係者によると、ホンダは「新型フェリオのデザイン検討にあたってプリウスに目をつけた」というから面白い。ハイブリッド機構ばかりが注目されているプリウスだが、クルマとしてのデザインも専門家の間では評価が高い。試乗車や展示車に乗ったことのある読者なら、アップライトで開放感のあるキャビンを思い出すはずだ。空力を稼ぐ機能性、ひと目でプリウスとわかる独創性、そして実用性をバランス良く両立させたカタチと言えるだろう。

 新型フェリオもノーズ先端からバックウインドウまでがワンモーションの流線型でまとめられ、3BOXの新たな可能性を生み出そうと試みている。ただ、5ドアHBのプリウスと異なり、短いリアノッチが設けられる点が3BOXのこだわりだ。さらに、フロントマスクは自社のヒット車であるオデッセイのテイストを採用。すなわち、横長ヘッドランプと下方に広げられた四角いラジエターグリルが組み込まれる。見慣れたとは言え、いまだにインパクトを失っていないオデッセイ顔で正統派3BOX市場に喝を入れる作戦だ。

 新型シビックのシャシーにはフィットと同じく、燃料タンクが前席下に置かれた「グローバル・スモール・プラットフォーム」が採用される見通し。現行モデル用に開発されたフロアトンネルのない「グローバル・コンパクト・プラットフォーム」は一代限りで廃止になるようだ。

 独特のデザインにオデッセイ顔―これだけでは魅力に乏しいと考えたのか、ホンダはもうひとつの仕掛けを検討している。それはズバリ、ハイブリッド仕様を大々的に売り出すことだ。

 プリウスがアメリカでバックオーダーを抱えるほど人気なのは周知のとおりだが、ホンダもインサイトとシビック・ハイブリッドの市販2車種を売っており、ハイブリッド開発の歴史は古い。トヨタがモーターを動力源のひとつとして使っているのに対し、ホンダの「IMA」はあくまでモーターをエンジンの補助装置と位置づけている。その結果、プリウスほど本格的な効果は見込めないものの、システム全体が軽くシンプルに仕上がっていることが特徴的だ。

 新型フェリオのハイブリッド仕様にも引き続きIMAが用いられる。さらに、FMCで大幅な価格ダウンが図られるとの情報もある。210万円オーバーのプリウスに対抗し、ホンダは普及価格帯でハイブリッド攻勢をかけるつもりなのかもしれない。また、このクラスとしては珍しく、車間制御機能を持つクルーズコントロールが設定されるなど、ハイテク装備でもユーザーの購買意欲が刺激される。

 ただし、ヨーロッパ向けには国内仕様とは異なるディーゼル・ハイブリッドが用意される模様。こちらはプリウス同様、モーターが発進や低速走行を受け持ち、クルージング時にはエンジンが主役に切り替わる仕組みだ。日本とヨーロッパでは走行環境があまりに違うため、こうした作り分けが行われる。

 発売までにまだ時間があるため、デザインやメカニズムがどのように進化していくのか興味深いが、少なくともホンダがシビックの存在感を高めるべく、3BOXの常識を捨ててさまざまなトライを重ねていることは間違いない。インパクトと実用性が巧みに両立されたデザイン、そしてハイブリッドをはじめとするメカニズムで魅力が打ち出され、「カローラに引けを取らない販売台数を勝ち取りたい」(関係者談)という意気込みがヒシヒシと伝わってくる。

 なお、国内ではHB需要をフィットに集中させ、シビックはフェリオに一本化されるとの情報もある。この情報の真偽も含め、スクープ班は引き続き新型フェリオを追いかけていく。
現行シビック・フェリオ

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グローバル・コンパクト・プラットフォームが新採用され、7代目として2000年9月に登場。01年12月にはハイブリッド仕様も加わった。


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