スクープ

2001年1月


カムリ

トヨタ

精悍スポーツセダンだった!

思いのほかスポーティだった。これがスッ裸になったカムリを見たスクープ班の第一印象だ。現行モデルも含め、カムリと言えばファミリー層を狙った無難なセダンで、決してスポーティというコトバが当てはまるようなクルマじゃなかった。カリーナの兄弟車として誕生した初代セリカ・カムリを除いては。

しかし、7代目は違う。グッと若返りを図ったシャープな外観フォルムをはじめ、チェイサーやアルテッツァといったトヨタを代表するスポーツセダンを連想させる4灯式ヘッドランプ、さらにはボリューム感あふれるボディシェルなど、カムリのネーミングからは想像もできないほど、スポーティに装う。

世界初公開となる新型カムリのスッピン姿。4灯式ヘッドランプを際立たせるブラックアウトのハウジングや、メッシュ状ラジエターグリルはスポーティシリーズの専用装備だ。


じつは、今年秋にも登場する新型カムリには、従来どおりの標準グレードに加え、新たにスポーティシリーズもラインナップされることがスクープ班の調べで明らかになった。今回、擬装を脱がせてスッピン姿をあらわにしたのは、そのスポーティシリーズの代表モデルなのだ。

じゃぁ、標準グレードとどう違うのか。まず、フロントマスクに豊かな表情をもたらすラジエターグリルがメッシュ状の専用デザインで、標準グレードに採用されるメッキタイプに見られる高級感は抑えられている。同時にヘッドランプのハウジングもブラックアウトされており、4灯式であることを強調。この手法はマークIIやツーリング・ハイエースなど、すでに数多くのトヨタ車に使われている常套手段だ。なお、上級グレードのヘッドランプにはディスチャージタイプが採用されることも決定している模様。

足まわりは16インチの専用アルミホイールでキリッと引き締められ、スポーツチューンド・サスペンションと相まって高いハンドリング性能がもたらされるだろう。このほか、トランクリッドにはリアスポイラーも装備される見込みだ。

引き続きビッグキャビンを売りにする内装では、黒木目調パネル(ワインレッド木目調になる可能性あり)やブラックに近い濃色のインテリアカラー、モダンにまとめられたシート生地&トリムが、外観に引けを取らないスポーティ色を演出。

フロントノーズには2AZ-FE型2・4リットル直4(118kw/221N・m)、または熟成が図られた1MZ-FE型3リットルV6(162kw/304N・m)エンジンが搭載され、FFラージセダンにふさわしい上質な走りが味わえるはずだ。

直近のトヨタ・ラインナップでは「iR」や「RS」のグレード名を与えられているスポーティシリーズ。ここで紹介したように、新型カムリにも同種のモデルを設定することでユーザーの平均年齢を下げ、若返りを図るのがトヨタの狙いなのだ。


歴代カムリの系譜

●初代 80年1月デビュー
「セリカ・カムリ」のネーミングで登場した初代モデルはカリーナの兄弟車だったため、FRレイアウトを採用。1.6リットルと1.8リットルに加え、発表7カ月後の80年8月には2リットルモデルもラインナップに加わった。当時のコンセプトは「高級スポーティセダン」で、車名は日本語の「冠」に由来。
●4代目 90年7月デビュー
電子制御4WSやシートベルトバックル照明、超音波雨滴除去装置付きドアミラーなど、4代目には高価な新装備が目立った。バブル経済の波に乗ってプロミネントのV6エンジンが2.5リットルに拡大され、輸出用ワイドボディをまとった派生車セプターも登場した。
●2代目 82年3月デビュー
ターセル/コルサに続いてFFレイアウトを用い、一転して広々キャビンを売りにした2代目では兄弟車ビスタが登場した。デビュー当時は1.8リットルエンジン+5速MTのみだったが、後にFF横置きエンジン用としては世界初のATを搭載。2リットルツインカムやターボディーゼル車も追加された。
●5代目 94年7月デビュー
バブル経済の崩壊にともなって厳しいコスト制約を受けた5代目は、内外装の質感が大幅に低下。バリエーション展開も集約され、4代目に見られた贅沢装備がこぞって姿を消した。また、V6モデルはウィンダムへのバトンタッチを果たし、ラインナップから消滅。
●3代目 86年8月デビュー
新設計シャシーとハイメカ・ツインカムが注目を浴びた3代目。87年4月にV6エンジンを載せた「プロミネント」が、さらに同年10月には4WD車もラインナップされ、バリエーションの幅が広がった。また、輸出専用ではあったものの、ワゴンボディも登場した。
●6代目 96年12月デビュー
ビスタとの兄弟車関係を解消され、国内名「カムリ・グラシア」を与えられて登場した6代目は北米市場を重視。ボディも3ナンバーサイズに拡大され、事実上セプターの後継車としてデビューした。「グラシア」はMCでワゴン専用名となり、セダンは「カムリ」の名に戻された。

7月17日北米向け生産開始

左右独立コンビランプとシャープな面造型が、セド/グロに似た雰囲気をかもし出す新型カムリのリアビュー。ボディサイズは現行モデルと同等になる見込みだ。

そんな新型カムリが国内デビューを果たすのは9月だ。現行モデルと同じ愛知県・堤工場で生産がスタートするのは9月3日だが、それに先がけて北米仕様が7月中旬(17日か?)からラインを流れる。じつは、この北米仕様の生産計画は当初予定より約3週間も前倒しされたもので、TMMK(トヨタ・モーター・マニファクチャリング・ケンタッキー)でのラインオフに備え、事前確認の意味を含めて先行されることになったのだ。

最終仕上げも順調に進んでおり、本誌発売と前後して量産試作(北米仕様)の組み付けが行われているはず。これを受けて北米でも3月に1次量産試作が、そして5月に2次量産試作がそれぞれ製作される予定だ。また、国内向けも4月の1次量産試作と、5月末の1・5次量産試作(当初予定よりも2週間前倒し)で品質面などの最終的なツメが行われる。なお、堤工場では7月中旬に北米仕様が立ち上がった後、8月初頭にはヨーロッパ向けの生産も始まり、国内向けは最後発としてラインオフ。ちなみに、現行モデルはウィンダムとともに7月中旬をもって生産が終了する。

開発コードは北米仕様が300N、国内向けが301N。国内向けにはダイハツで販売されるOEMモデルのアルティスも含まれており、引き続きOEM供給が継続されることも確認できた。

20世紀最後の年、革新的なFMCでカローラを大幅に飛躍させたトヨタ。今年は新型カムリをはじめ、コロナやカリーナ、ウィンダムの刷新に加え、新鋭ベロッサも投入してセダン革命を続行していく。


ワゴン「グラシア」はどうなる?
文中でも触れたとおり、7代目にあたる次期カムリの開発は順調に進んでいるが、じつはセダンボディ以外が開発されている気配はない。国内ディーラーからはワゴンモデルのグラシアに対して「あのサイズのワゴンはもはや売れない」といった声も挙がっており、メーカー側も次期カムリへのワゴン設定は見送ったようだ。

一方のマークIIクオリスはカムリ系からの独立を図り、マークIIと同じFRプラットフォームを採用する。ただし、外観デザインはマークIIとまったく異なり、オリジナル・ボディをまとって11月に登場。ちなみに、現行クオリスの生産はグラシアが打ち切られた後も続き、10月まで継続されるようだ。

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