PSAグループとの提携で生まれるヨーロッパ戦略1Lスーパーミニ
●予想発表時期 05年 NEW
7月12日、トヨタはフランスのPSA(プジョー&シトロエン)グループと提携関係を結び、まったく新しい小型車の共同開発・生産を行うことで合意した。国内で大成功を収めたヴィッツをフランスの工場でも生産し、ヨーロッパ市場での販売に乗り出したトヨタだが、現地でのシェアはまだまだ低い。
今回、トヨタとPSAが手を結んだ背景には、小型車の需要が急速に高まっており、互いの技術力を持ち寄ることで新規ユーザーが獲得できるとの目論みがあったからだ。環境問題に厳しいヨーロッパでは今後、ますます小型車に対する需要が高まり、最先端技術を生かして高い環境性能(クリーンさ)を備えたクルマが人気を呼ぶだろう。ちなみに、開発と生産についてはトヨタが主導権を握り、この新型車のために工場も新しく建設するという。具体的な場所は未定だが、「東欧ではないか」との見方が強い。
プジョー106やシトロエン・サクソより下のAセグメントに属するこの新型車には、1Lエンジンが搭載される。トヨタはすでにヴィッツに定評ある1Lエンジンを採用しているが、この新型車用に新たに開発することも明らかになった。また、ヨーロッパで根強い人気を誇るディーゼル車も設定。こちらのエンジン排気量は1.4Lで、PSAとフォードが共同開発を進めている。
これから本格化する開発に先立ち、スクープ班が外観フォルムを大胆予想。ヴィッツのよさを生かしつつ、質実剛健なイメージが売りとなるだろう。 |
気になるのは、国内でトヨタ・グループ傘下にあるダイハツの存在だ。本来なら、コンパクトミニのノウハウを長年にわたって培ってきたダイハツと手を組んでもよさそうなものだが、PSAは調達業務をメインに引き受けるとのこと。つまり、現地事情にたけているパートナーをトヨタは選んだワケだ。
じつは00年10月にPSAから打診を受けるまで、トヨタは独自にヴィッツより下に位置する、さらなるコンパクトの開発を検討していたという。だが、問題が多く、難航していたところへPSAから今回の話が持ちかけられたのだ。トヨタにしてみれば、まさに“渡りに船”。なお、この新型車開発にダイハツが参画するかどうかは未定で、これからトヨタとダイハツの間で検討が進められていくようだ。
もうひとつ、日本に住んでいるボクらが無視できないのは、はたして日本市場への導入があるのか、ないのか。いまのところ、明解な答えは出されておらず、「YES」とも「NO」ともコメントされていない。この議題もこれから論議されていくことのひとつなのだろう。
何しろ市販化は05年の予定だから、まだこれから煮詰められていくことは多い。しかし、トヨタ、プジョー、シトロエンの各ブランド名を掲げ、それぞれの個性を生かした独自デザインの小型車がデビューするのはまちがいない。ボクらにいまできることは、声を大にして日本導入を願うことなのだ。
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同じAセグメントにはヨーロッパで人気のルノー・トゥインゴやVWルポ、フォードKaなどが存在するが、PSAもトヨタもいまのところ属するクルマをもたない。 |
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