4ドアのS2000を作ろう――同名モデルのアップデート版にすぎないモデルチェンジではなく、これまでにない"スーパーセダン"を作り上げるために、新型アコードの開発陣が掲げた目標だ。
アコードが次に目指しているのは、ひと言で表現するならば「最強のFFスポーツセダン」ということになる。しかし、それは単にハイパワーを与えられたモンスターマシンではなく、ましてS2000のイメージをデザインに取り入れただけの4ドアセダンという意味でもない。
シャシーの設計段階から"走り"を優先させた思想を折り込み、世にあふれるスポーティな"だけの"セダンたちに後塵を浴びせることこそ、アコードの新たな使命なのだ。
エンジンに関しては2リットルが2タイプ、そして新開発2・4リットルという合計3タイプが予定されている。さらに、モデルライフ途中には2・4リットルのチューンナップ版が追加されるという情報も入ってきている。
8月のデビューと同時にラインナップされる3エンジンのうち、2リットルのハイパワー版はインテグラ・タイプRにも搭載されている220psのK20Aだ。この情報に触れたスクープ班は、「ついにアコードにもタイプRが出るのか」と興奮したものだ。
しかし、そのエンジンを搭載するのは『ユーロ200S』なるスポーティグレードらしい。"R"の称号は与えられないのだ。
では、やはり新型アコードに"R"はないのか?
いや、そんなことはない。そのカギは、途中で追加されるという『チューンナップ版2・4リットル』が握っているようだ。たしかに220ps版K20Aは軽快にまわるスポーツエンジンだが、インテグラやシビックより大柄なアコードを"無敵のFFセダン"とするには少々役不足というか、適任ではないように思える。
その点、排気量の大きな2・4リットルをチューニングするなら、車格に見合ったトルクフルなスポーツエンジンになりそうだ。ノーマルでは200psを発揮するところを、おそらく250ps近くまでパワーアップされることはほぼまちがいない。
2リットルで250psを絞り出すS2000のF20Cエンジンのように「低回転域はスカスカ」などと酷評されることもなく、トルクに余裕を持ったバランスの良いスポーツエンジンとすることも可能なはずだ。数値だけをイタズラに追いかける、名ばかりのスポーツセダンたちを尻目に、アコード"タイプR"はツインエキゾーストから快音を響かせながら加速していく。この後ろ姿に、誰がついて来れるだろうか…。
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