いま開発が本格的に進んでいる「760N」の役割は、3ナンバーサイズに昇格したイプサムと、カローラ・ベースのスパシオとの間で広がったミニバンラインナップの空白を埋めることだ。混雑した都市部や、狭い市街地でも使い勝手のよい5ナンバーサイズと、大人6〜7人がキチンと座れるユーティリティ、そして手頃な値段を武器に、ホンダ・ストリームをはじめとするライバル勢を追撃する。現時点では開発の主導権を握っているトヨタ車体によって3案が提案されており、02年1月に正式デザインが決まる見通しだ。
まず「A案」は、4450mm×1695mm×1590mmのボディにオーパと同じ1AZ-FSE型2リットル直噴D-4直4エンジン(152ps)+スーパーCVTを搭載。売りは当然"“クリーン&低燃費”だ。ミニバンながら10・15モード燃費で16・5km/リットルをめざすというが、これはライバルのストリームと比べて2km/リットルの差をつける計算だ。シート配列は2-3-2の7人乗りで、高級感あふれるオプティトロンメーターやCD&MDオーディオ+6スピーカーなども装備している。
「B案」は、ボディサイズこそ同じだが、パワートレーンを1ZZ-FE型1・8リットル直4エンジン(136ps)+4速ATに最適化し、コストパフォーマンスを重視したプラン。装備やシート配列は先に紹介したA案とほぼ同じだ。
ところが、最後の「C案」だけは先の2案とややコンセプトが異なり、4500mm×1730mm×1590mmの3ナンバーボディに2AZ-FE型2・4リットル直4エンジン+5速ATを積む。シート配列は2-2-2の6人乗りで、2列目には高級ミニバンを思わせるキャプテンシートが備わるのもウレシイ。
1月のデザイン決定から1年後の03年1月には量産開始という、トヨタの底力を見せつける開発スケジュールだけに、シャシーにはカローラのものが部分的に流用され、エンジンまわりはアリオン/プレミオと共用される。また、ストラット式フロントサスペンション&トーションビーム式リアサスペンションもカローラの部品が使われる見通しだ。なお、駆動方式はA案とB案がFF&4WD、C案がFFのみ。
インテリアデザインは、主要購買層となるヤングファミリーやカップルに焦点を合わせ、豪華というよりはシンプルでスポーティに仕上げられる。シフトレバーはインパネに組み込まれ、トヨタがGAZOOとMONETも包括して02年から展開する新世代ネットワークサービス「G-BOOK」端末もつく。
低迷する経済情勢や、同車に与えられたポジショニングを考えると、現時点での有力候補はA案かB案だろう。デザイン案が決まるのはもうすぐだ。
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