スクープ
2005年 12月

 アベンシス  トヨタ
 役員承認で「GO!」サイン出た この姿で確定
予想発売時期:07年
●全長×全幅×全高:4670mm×1760mm×1480mm
●搭載エンジン:2.4リットル 直4

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スクープ班が入手した情報を元に製作した次期アベンシスの確定フォルム。大胆にツリ上がったヘッドランプとワイド感を強調する横線基調のラジエターグリルがヨーロピアン・テイストを演出している。

オーソドックス路線を卒業 こりゃ、まるで4ドアクーペ
 本誌が水面下で調査を続けていた次期アベンシスの外観デザインが、ついに決まった。すでに断片的な情報はいくつかキャッチしていたものの、より正確な状態で読者のみなさんにお伝えすべく、スクープ班では情報収集を絶えず続けてきた。そこへ飛び込んできたのが、役員承認を得てめでたく量産化が定まった最終のデザイン案だ。

 何はともあれ、まずはスクープ班入手の確定情報を元に製作したイラストをご覧いただきたい。アベンシスと言えばオーソドックスなファミリーカーのイメージが強いが、FMCで登場する次期モデルはそんな面影を微塵も残すことなく、まるで4枚のドアを持つスペシャリティ・クーペのよう。広いトレッドを保って高い走行安定性を保つために全幅は1750mmを超える数値が維持され、その幅広スペックがデザインにも巧みに反映される。

 フロントフェンダーに注目。17インチの大径タイヤも収まる大きなホイールアーチはキレイな曲線を描くとともに、しっかりと張り出すことで存在感をアピール。内側に置かれるサスペンションはストラット式ではあるものの、欧州仕立てのキレのある走り味がもたらされるのは現行モデルと同じ。リア・サスペンションにはダブルウィッシュボーン式が踏襲されるだろう。

 シャシーは本誌に何度も登場している新MC(ミディアム・コンパクト)プラットフォームだ。これは新型RAV4で初めて実用化されたもので、06年1月16日に登場するエスティマや新型カローラ(06年夏デビュー)、さらには“トヨタ版オデッセイ”ことゾーン(仮称)にまで幅広く使われる、まさに新世代トヨタFF車の屋台骨のような存在。搭載エンジンには2AZ型2.4リットル直4が踏襲される見込みだが、吸排気系の見直しで燃焼効率が高められて動力・環境性能ともに向上するだろう。

 エクステリア・デザインの検証に戻ろう。フロントマスクには四角いヘッドランプに代わって異型のツリ目ランプが与えられ、これまた現行モデルの面影がまったく見当たらない。横ルーバーで構成されるグリルは逆台形がモチーフで、中央のCIエンブレム部には盾をイメージさせるガーニッシュを装着。そして、マスク全体を覆うように配されるボンネットフードは曲線を描く開口部によって洗練された印象を放ち、スタイリッシュで垢抜けたイメージがかもし出される。

 このツリ目ヘッドランプと丸みを帯びたノーズは過去にスクープしたプログレ/ブレビス/アルテッツァ後継車のハイブリッド4ドアにも見られた要素で、初めて確定情報を入手した際にはコイツのデザインが進化した、すなわち同一のクルマでは と勘違いしたほど。しかし、キャッチした次期アベンシスの開発コードは445Lで、ハイブリッド4ドアとは異なる別モノであることも確認できた(下記のコラム記事参照)。
開発コード445L
クーペを連想させるフォルムはボルボS60を意識した表れか


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「サイドビューなんかマツダ車ぽいですよね」 (関係者・談)
次期アベンシスのサイド&リアビュー。スクエア基調のコンビランプが前ページに掲載したハイブリッド4ドア(500L)と似た印象をかもし出している。大きく傾斜したバックウインドウにも注目。

後席居住性を犠牲にして優れた空力特性を優先か
 次期アベンシスのフロントビューが大きく変貌することに多くの読者が驚いたはず。しかし、まだまだビックリするニュースはある。ここでは後ろから見たプロポーションにスポットを当てよう。

 前ページで「4枚のドアを持つスペシャリティ・クーペ」との表現を使ったが、そのフレーズはむしろリアビューを説明するのに最適かもしれない。現行アベンシスは家族で乗れる、まさにクルマの基本形とも言える3BOXフォルムをまとっているが、フロントマスク同様、次期モデルではその面影がどこにも見当たらない。Bピラーを頂点に、なだらかに下がっていくルーフラインはオーソドックスなセダンから一転することが典型的に現れている部分だ。同じヨーロッパ市場でプレミアム感をウリにしているボルボS60を思わせるデザイン処理でもある。

 前ページに掲載したイラストのほうがわかりやすいが、キャビンは後ろに向かって左右方向にも絞り込まれる。ボディ下半分がフロントと同じ幅を保っているのに対し、上半分のグリーンハウスがバックウインドウに向かって大胆にラウンドしているのが目新しい。先に触れた後ろ下がりのルーフラインと合わせて考えると、もしかしたら次期アベンシスは後席居住性より空力特性とスタイリッシュさを優先して開発されているのかもしれない。

 一方で内部関係者からは「サイドビューなんか、マツダ車っぽいですよ」と例える証言も届いている。具体的にどこがマツダ車っぽいのか、入手した情報を分析すると、何となく関係者が言わんとしていることがわかった。その証言はリアドアとクォーターピラーのデザイン処理を表現したかったのだろう。イラストでも再現したように、ルーフラインに沿って下がっているリアドアの開口線はピラー部で垂直にカットされ、そのままホイールアーチに向かう。これはアクセラにも見られるデザイン処理で、おそらく関係者はここを見て証言したと思われる。

 ところで、アベンシスと言えばセダンのほかにステーションワゴンも販売されている。しかし、いまのところ、トヨタ社内ではセダンのみが開発コード445Lを掲げて開発されているという。もしかしたらセダンの開発が先行して行われ、今回のデザイン確定を受けてワゴン・ボディ(後ろ半分)がこれからデザイン開発される段取りなのかもしれない。

 最後に。アベンシスはFMC後も引き続き英国から輸入販売される見通しだが、国内向けは新ネーミングを掲げるとの未確認情報もある。
ハイブリッド4ドアと同じクルマ!?
本誌を欠かさずチェックしている読者なら、下に掲載したアベンシスが過去に報じたプログレ/ブレビス/アルテッツァ後継車に相当するハイブリッド4ドアに似ていることに気づいたはず。しかし、ハイブリッド4ドアは全長が4500mmと短いうえに、開発コードにも次期アベンシスとは異なる500Lが与えられているため、別モノと断定できる。しかし、それにしても全体的な雰囲気が似てるなぁ。

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05年9月号でスッパ抜いたプログレ/ブレビス/アルテッツァ後継車。ハイブリッド・システムが搭載されるMサイズ4ドアだ。 リアでは左右独立コンビランプと中央出しエキゾーストの採用が検討されている。エッジの効いた造型も500Lの特徴的なポイントだ。

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ピラー途中で鋭く曲がって落ちているドア開口線はアクセラに似ている。これを受けて「マツダ車っぽい」と関係者は証言したのだろう。(写真はアクセラ) セダン離れした大らかなシルエットラインはボルボS60を思い起こさせる。デザインチームの中で最有力ターゲットに掲げられたのだろうか。(写真はS60)
現行モデル

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