スクープ
2005年 3月

 ファンカーゴ  トヨタ
 コミカル路線脱却する 新型ファンカーゴはトールワゴン界の優等生だ
まだ誰も見たことのない門外不出の確定フォルム示す独占ナマ写真

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これが新型ファンカーゴの確定ナマ写真だ。現行モデルのコミカルな雰囲気から一転、シャープ&スポーティな装いに生まれ変わる。踏ん張り感を強調するホイールハウスにも注目。

 テストコースで擬装だらけの試作を捕らえてから、わずか1カ月。本誌スクープ班は早くも新型ファンカーゴの確定ナマ写真を独占入手することに成功した。詳細に目が行く前に、何よりも驚かされるのが、その正統派ぶりだ。99年にデビューした現行モデルはコミカルな雰囲気が強く、オモシロおかしい印象で若年ユーザーのココロをつかもうとしたが、新型モデルは一転、マジメな優等生を思わせるデザインに仕上がっている。

 現行ファンカーゴは「前席」と「カーゴ」の分割された両スペースを外観デザインを通じて訴求してきた。ところが、新型モデルはボディ全体のカタマリ感を強調。とくにノーズからルーフへと至る傾斜の強いAピラーは前進感をかもし出しており、現行モデルにはない“速さ”を感じさせる。また、前述の「前席」と「カーゴ」が分断された印象を払拭すべく、センターピラーがブラックアウト化されてグリーンハウスに溶け込んでいるのも目新しい。傾斜したAピラーの採用により、フロントドア前方にサブウインドウが新設されているのも見逃せない。

 フロントマスクにはツリ目ヘッドランプとメッシュグリルを採用。また、バンパー内には横長エアインテークが上下2段に配されており、ワイド感が強調されている。ボンネットフードにはAピラー下からノーズ中央へと向かうシャープなプレスラインが織り込まれている。

 マスクとは対照的に、ボディ側面はシンプルだ。ドア断面もウインドウ下からサイドシルに向かってほぼ垂直に設計されているため、うねった面構成とは無縁。唯一、目を引くのがドア下方に彫られたキャラクターラインだ。

 新型ヴィッツに続いてプラットフォームが刷新されるファンカーゴには、引き続き格納式リアシートが採用される。ただし、現行モデルではあまりにも座り心地が悪かったため、省スペースを維持しながら座り心地が向上。薄型燃料タンクの採用に加えてサブマフラーが後席下から助手席下に移されることでアンダーフロアのスペース効率が改善され、フィットに負けない高密度な空間が作り出される。

 搭載エンジンは2SZ型1.3リットルと1NZ型1.5リットルの2タイプ。ともにCVTが組み合わされることで静粛性、燃費、そして走行フィーリングのすべてが洗練される。また、1.5リットルの一部グレードにはパドルシフト式シフトマチック(7速か)も装備され、意のままに変速操作が行える。

 なお、4月号でもお伝えしたように、トヨタ社内ではレクサスISの総仕上げにマンパワーが割かれているため、新型ファンカーゴは当初予定されていた7月から3カ月ほど遅れて10月に登場する見通しだ。

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フロントマスクで目を引くのはメッシュグリルと、ワイド感に拍車をかける横長のバンパー内2段エアインテークだ。ドアミラーウインカーも装備される模様。
現行モデル

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「携帯空間」をキーワードに99年8月に登場したヴィッツ・ベースのトールワゴン。後席足元にスッポリと格納できるリアシートがセールスポイントのひとつだ。
惜しくも中折れ式バックドア実現せず! 後ろ姿はまるで“ミニ・スパシオ”
当初予定より3カ月遅れて10月に発売ズレ込む

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リアビューからも正統派の印象が伝わってくる。センターピラーはブラックアウト化され、逆にクォーターピラーは台形のボディ同色タイプに変わって存在感アップ。バックドアはオーソドックスなハネ上げ式だ。

 冷蔵庫のような使いやすい横開き式ドアに代わり、コンセプトカー顔負けの中折れ式バックドア採用が検討されている――本誌2月号で報じた新型ファンカーゴの衝撃的なアイデアは残念ながら実現しないことが判明。やはりコストや実用性、それに耐久性の面で解消できない問題点が多かったのか、結局のところ、バックドアはオーソドックスなハネ上げ式に落ち着くことが決まった。

 その後ろ姿は下に掲載したとおり。クォーターピラーに内蔵されていたコンビランプもウエストライン下まで下ろされ、前ページで述べたように正統派と呼んでも過言ではないリアビューが完成している。デザイナーの遊びゴコロを感じさせるのがバックドアを横断するプレスラインで、両端のコンビランプ下を結ぶように曲線が設けられている。じつは、このプレスラインには真後ろからクルマを見た時に重心を低く見せ、安定感を向上させる狙いもあるようだ。ナンバープレート用のスペースはプレスラインの上に配置され、メッキガーニッシュがさりげない高級感をもたらしているのも新型モデルの特徴のひとつだ。

 それにしても、ボディ両端に配された異型コンビランプ、CIエンブレムが組み込まれたガーニッシュ、そして横長のバックウインドウで構成されているリアビューはスパシオにそっくりだ。一見しただけでは区別がつかなさそうなほど。あえて意図的に似せられたのか、いざ完成したら似てしまっていたのか、その真意は定かではないが・・・。

 中折れ式バックドアは断念されたものの、新型ファンカーゴにはユーザーを感激させるアイテムがキチンと用意されている。それがパノラマルーフだ。ラフェスタのルーフに大面積ガラスが装備されて注目を集めたのは記憶に新しいが、新型ファンカーゴにも同じようなガラスルーフが設定される。こちらはフロントウインドウ上から後席頭上までがガラスで覆われ、この上ない開放感がもたらされる。当然、直射日光を遮るための電動サンシェードも併設され、オープン時にはルーフ後方(ラゲッジスペース上方)に格納される。

 新型ファンカーゴの予想されるスリーサイズは3900mm(現行モデル比プラス20mm)×1695mm(同プラス30mm)×1650mm(同マイナス50mm)。前後席の間隔が925mmに拡大されることで居住性にも磨きがかかり、キューブやデミオ、フィットといったライバル車を凌駕することだろう。ノートが殴り込みをかけるなど、コンパクトカー市場の過熱ぶりはとどまるところを知らないが、新型ファンカーゴが05年の同市場の台風の目となることは間違いなさそうだ。

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新型ファンカーゴは、トールワゴンとは思えないほどの安定感を演出。従来のコンパクトカーにありがちだった薄っぺらさがうまく解消されている。

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シフトレバーの操作性を改善すべく、コラムシフトはFMCを機にインパネシフトへと変更される。もちろん、インテリア全体の質感アップも図られるだろう。
現行モデル

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横開き式バックドアと低いラゲッジ床面が用いられ、ライバル車とは一線を画す高い実用性を実現。ピラー内蔵コンビランプも外観上の特徴として印象深かった。


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