スクープ
2005年 1月

 CR-V  ホンダ
 扇形ウインドウの向こうにホンダ・デザイン新潮流見えた 06年8月新CR-V登場

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これが新型CR-Vの確定フォルムだ。ストリームゆずりの扇形ウインドウと横長のラジエターグリルが印象深い。ボディサイズは現行モデルと同等で、4495mm×1800mm×1680mmとなる。

 RAV4とともに新たな市場を切り開いたCR-V・・・スクープ班は今回、開発コードWQで呼ばれている3代目CR-Vの確定イラストと新技術の数々をつかんだ。記念すべき第一報として早速、お届けしよう。

 初代のデビューは95年。背高クロカンのイメージを演出しつつ、街中での走行性や快適性を重視したコンセプトが当たって大いに売れた。01年登場の現行2代目も全体が洗練されつつ、そのコンセプトをしっかりと踏襲。ただ、デザイン的に新味が薄れてしまったことも事実で、排気量アップやHIDヘッドランプの標準化といったビッグMCが04年9月に行われたにもかかわらず、初代ほどの勢いは取り戻せていない。

 で、今回スクープした3代目だ。確定イラストからもわかるとおり、一見、現行モデルのイメージが色濃く残されるが、ディテールは大胆に変わる。おそらく、実車の印象は相当、異なるはずだ。

 とくに大きく変わるのがフロントマスクとサイドビューだ。現行モデルで強調されているラジエターグリルは、ヘッドランプ下端より低い位置に横長のエアインテークとして設けられる。現行モデルはバンパー中央下部が盛り上げられ、車高の高さが強調されているが、新型では逆にノーズを低く見せる方向へと転換。ヘッドランプは上方のショルダー面に回り込み、立体感が打ち出される。なお、フロントワイパーには新型シビックに続き、対向式が用いられる。ウインドウ両端に作動点を持つ対向式は払拭面積が広いというメリットがある。今後、ホンダ車で採用が増えていくのだろうか。

 一方のボディサイドでは、キャビン後方のデザイン処理が新しい。目を引くのが扇形のウインドウ・グラフィックスだ。現行モデルはウインドウ面積を大きくとりつつ、Cピラーをボディ同色とすることで、キャビンとラゲッジスペースを視覚的に分離。これに対して新型CR-Vではのびやかな印象を与えるため、フロントドアからリアクォーターまでが一体的にデザインされる。これに加え、リアドア付近からウインドウ上端が徐々に下がり、ラゲッジスペース後端に向かって緩やかな後ろ下がりのラインを描くデザインも採用、都市型SUVらしいスタイリッシュな雰囲気がもたらされる。足元には17インチアルミホイールがおごられ、力強さと高級感の演出に貢献。

 さらに、バックドアが現行モデルの横開き式からはね上げ式のハッチゲートに変わるのもビッグニュースだ。また、ダンパー取付部にはゲートが閉まるにつれて荷重点を変動させる機構も採用される。はね上げ式の場合、ゲートの重みで閉める際に「バタン!」と大きな振動と音が出てしまうのが常だが、新機構によってソフトな開閉が可能になる。ハッチゲート自体も軽い樹脂製に変わり、スムーズな開閉と燃費向上に貢献する。

 メカニズムの詳細は25ページで詳しく紹介するが、新型CR-Vには現行モデル同様、2.4リットル・i・VTECエンジンと5速ATが引き継がれる(燃費向上のために細部を改良)。ただし、海外仕様には2リットルガソリンと自社製の2.2リットルディーゼルも設定される。

 プラットフォームには、ひと足先にスクープした新型シビックのものを流用。4WD化にともない、前半分の一部がCR-V専用に手直しされるようだ。

 最近モデルにふさわしく、装備面でも抜かりはない。前方の交通状況に合わせて自動的に加減速を行うIHCC(車速&車間制御機能)や、薄型カードキーを持っているだけでドアロックの施解錠とエンジン始動が行えるスマートカードキーシステムも採用される。さらに、カーブ走行時に進行方向を照らすAFS(配光可変型ヘッドランプ)も装備。ちなみに、AFSにはシーマのように別光源を持つ方式や、ステップワゴンのようにリフレクター(反射板)が動く方式など、数タイプあるが、CR-VのAFSにはランプユニット本体が左右に動く方式が用いられる。この方式はコストが高い点がネックだが、ホンダは同方式がAFS本来の効果がもっとも得られると判断したようだ。ハリアーやセルシオなど、トヨタ車に採用されており、今後、ホンダ車のAFSもこの方式が主流になりそうだ。

 従来のサンルーフよりガラス面積が大きいパノラマルーフの存在もキャッチ。ただし、国内はサンルーフ需要が少ないため、ヨーロッパ仕様限定アイテムとして設定が検討されているらしい。

 量産までのスケジュールを確認しておくと、06年初頭に段取確認が行われて生産準備に入る。同4月から5月にかけて品質確認と量産試作が行われ、終わり次第、国土交通省に型式認可を申請、7月には量産がスタートする見通しだ。なお、国内での発表は翌8月の前半となる可能性が高い。


ライフから踏襲(!?)エラの張ったコーナー

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現行モデル

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扇形ウインドウのクルマたち
 報じてきたように、新型CR-Vには扇形のウインドウ・グラフィックスが採用されてサイドビューに個性がもたらされる。リアクォーターウインドウが後ろ下がりのラインを描いているクルマといえばストリームが真っ先に思い浮かぶが、このほか、メルセデスベンツRクラスやインフィニティFX45、ラフェスタのご先祖リバティなども挙げられる。
ストリーム

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メルセデスベンツ Rクラス

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インフィニティFX45

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リバティ

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日本上陸3年目を前にMDX2月17日小改良
 CR-Vの兄貴分とも言えるMDXはまもなく日本導入から丸2年を迎え、2月17日からは05年モデルの国内販売が正式に始まる。04年1月のMCではフロントグリルや前後バンパーが新デザインに変わり、エンジンスペックも5psアップして265psに到達。また、カーテンエアバッグの採用やベースグレードの追加など、あちこちに手が加えられたため、今回の年式変更は小規模な手直しにとどまる見通しだ。
 その中でもっとも注目したい変更内容として、コンフォート装備の充実が挙げられる。意外にも現行モデルには装備されていないオートライト、雨滴検知式ワイパー、セキュリティアラーム、そしてヘッドランプ・レベリング機構が新たに追加される。ヘッドランプ・レベリング機構は積み荷によって上向いてしまった光軸を補正し、対向車への眩しさを防ぐ役割を果たす。
 ボディカラーではスターライトシルバーMがビレットシルバーMに変わり、上級グレード「エクスクルーシブ」には4つ目の選択肢として新色スチールブルーMがラインナップされる。
 グレード展開は現行モデルと同じく、ベース車とエクスクルーシブの2タイプで、リアインテグレーテッドモニターシステム、本革シート、前席シートヒーターといった両モデルでの装備差も変わりない。また、価格変動もなく、ベース車は460万円、エクスクルーシブは500万円のまま、ベルノ店で引き続き売られる(いずれも税抜き車両本体価格)。なお、このMCによってホンダは月販30台程度の実績を同50台に引き上げたい考えだ。

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シルバー、ブラック、ダークレッドに続き、新たにブルー(正式名スチールブルーM)が追加されるMDX。内外装デザインでの変更点はなく、見た目で識別するのは難しそうだ。

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トンネルの多い山間部などで重宝するオートライト。AUTOモードにセットしておけば周囲の明るさに反応してライトが自動的に点消灯する。 雨滴検知式ワイパーはフロントウインドウ上方のセンサーが水滴の量と付着頻度を検知してワイパーを作動させる便利な装備だ。 指定外の方法でドアロックを解除するとホーンが鳴り響くセキュリティアラームも、05年モデルで新たに採用される装備アイテムのひとつだ。
はみ出し情報 その1
文中で触れているように、ホンダはAFSの拡大採用を図っていく模様。スクープしたCR-Vを含み、シビックより上のクラスにはランプ本体が動く方式を、フィット以下のクルマには追加ランプ型が用いられるようだ。
はみ出し情報 その2
サイドエアバッグや前席シートフレーム、リアシートベルトなど、CR-Vのパーツには新型シビックのものが多数、流用されてコストが抑えられる。


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