スクープ
2004年12月

 タント  ダイハツ
 やっぱり心優しいだけのママではいられなかった!? タントもカスタム路線進出

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既存の現行モデルとは異なり、ワイルドな顔つきとなるタント・カスタム。最近のダイハツ車の傾向から推測すると、フロント、リアともに共通のデザイン・テイストに仕上げられるはずだ。

 いま軽自動車市場で一番勢いがあるのはトップのスズキではなく、2位のダイハツではないだろうか。ナンバー1のスズキを猛追し、背中が見え始めたどころか、射程圏内に収めつつあるからだ。04年1〜11月の実績では軽自動車市場でのシェアがスズキと2ポイント差にまで縮まっている。こうした現状を踏まえ、ダイハツはジーノやハイゼットのFMC効果が寄与する04年度はシェア30%をめざすと明言。ここで新たに紹介するクルマも既存車ベースの派生モデルだが、ニーズが存在するモデルだけに、トップ奪取に貢献することは間違いない。

 そのクルマとはタント・カスタムだ。ダイハツは初代ムーヴでヒットさせて以来、“裏”仕様としてカスタムを絶えず設定してきた。ワゴンRは標準車の人気が根強いのに対し、歴代ムーヴはカスタム系が支持されてきたという対照的な状態で、いまやダイハツ車には無くてはならない存在となっている。カスタム系は若年層に人気だが、ファミリー層からの支持も集めているのが強みだ。というのも、ファーストカーとして購入するパパにとって、経済性や実用性重視の軽自動車とはいえ、プライドや満足感を満たしてくれるクルマが欲しいもの。タント・カスタムはこうしたパパにうってつけの1台なのだ。

 一方、ダイハツにとってもカスタムは必要な存在だ。タントはトールワゴンながら軽自動車の常識を覆す広さに人気が集まり、月販目標の5000台を40%以上も上回る7000台前後のペースで販売が推移している。しかし、発売から1年が経過し、そろそろカンフル剤が欲しい時期でもあるからだ。

 多くのダイハツ車の“表”仕様がヨーロッパ調のクリーンなスタイリングなのに対し、カスタムはナニワの会社らしい“コテコテ”感が否めない。ただ、タントは設計年次が新しいためか、はたまた標準車の外観が非常にシンプルなラインで構成されているせいか、カスタムもスッキリとしたデザインに落ち着きそうだ。

 最近のダイハツ車は前後が共通のデザイン・テイストに仕立てられている。例えば、コペンとムーヴ・ラテは前後ともに丸目ランプを採用。タントの場合は角丸の長方形でまとめられている。これにならってタント・カスタムも前後が似たデザインとなり、具体的には長方形ランプをそのままに左右がクリアガーニッシュで結ばれるという。

 内装ではベージュ基調の柔らかな色づかいから一転、グレーやブラックが用いられてシックな雰囲気にまとめられる。ブラック系で統一されてスポーティかつクールなイメージを表現する手法は、カスタム系のアイデンティティとも言えるやり方だ。アクセントとしてシルバー調パネルやメッキパーツが採用される可能性もある。

 搭載エンジンなど、メカニズムは現行タントから流用されるだろう。他車種のカスタム系と同じく、ターボ以外にNAもラインナップされる見込みだ。また、ムーヴ同様、カスタム系だけに4気筒エンジン搭載車がラインナップされる可能性もある。とくにタントの場合は軽自動車とは思えない広さに魅力を感じ、白ナンバーの登録車から下級移行するユーザーもいるだけに、4気筒エンジンの追加は拡販につながる公算が高い。また、サスペンションのチューニングが変更されて乗り味が固めに設定され、併せて一部グレードではローダウン化も実現するかも。

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リアではコンビランプがクリア化され、左右を結ぶガーニッシュも配されるという。併せてエアロパーツも装着され、精悍なイメージを演出。内装には専用シート表皮がおごられる。
現行モデル

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初代ムーヴから始まった
カスタム・シリーズ

ダイハツが既存モデルをベースにドレスアップ仕様「カスタム」をリリースしたのは初代ムーヴから。95年デビューの標準車に遅れること2年、97年5月に“裏ムーヴ”の愛称でフロントノーズの異なるカスタムが誕生し、若者を中心に人気が集まった。その後、ムーヴは2回のFMCを経て現行モデルに至っているが、いずれもカスタムが同時発表されてきた。また、カスタムはダイハツ各車にグレード名としても使われているが、アトレーでは外観にも手が加えられて差別化が図られている。1月号でスクープしたとおり、ブーンにもスポーティ・ルックのカスタムが04年12月13日、追加された。

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