編集部blog
[2008/7/15]
【連載32】元「Xスクープ班」記者の、スクープ秘話

12-2)もうひとつの「黒革の手帳」

そもそもの動機は、被疑者の自宅マンションに、私の名刺があったことと、私との関連性を被疑者が捜査官に話したために、関係先を捜索したということであった。もっとも、被疑者と私との間に面識はないし、こちらもたまにスクープ情報をくれていた被疑者の個人情報について、その真贋も含めていちいち詮索などしない。知らないことが一番の機密保持になることは、スクープ記者の基本としても、また経験的にも知っているからだ。
自宅の捜索は、主に私の書斎に集中した。向こうもとくに何か証拠品を押収できるとはもともと考えていなかったらしく、自宅での捜索時間は短かったことを憶えている。連載の冒頭でご紹介した「黒革の手帳」は押収されたが、幸いにも、もうひとつの「黒革の手帳」は発見されなかったが。もうひとつの手帳とは、物理的な証拠ではない、私自身の持つスクープノウハウ、で、ある。
1週間後には、任意の事情聴取に応じた。朝から夕方近くまでかかったが、お昼休みもちゃんとくれる。出前のカツ丼が出るのを楽しみにしていたのだが、さにあらず。お昼になると、捜査員から 「午後は1時から始めます。それまで昼食でもとってきてください」
だいたいが、警察署のまわりには、大したお店はないのだが、結局、近くの食堂を紹介され、「カツ丼」を食べた。
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