編集部blog
[2008/7/15]
【連載30】元「Xスクープ班」記者の、スクープ秘話

11-4)メーカー上層部を怒らせ、呼び出しを喰らう

こんなこともあった。暮れも押し迫ったある年の12月28日。この日はご多分に漏れず、編集部も仕事納めである。
実は前日に広告営業の担当者から連絡があった。
「マガジンXのスクープ記事にメーカーの担当重役が怒っている」
「本社まで謝りに来いと言っているが、どうしたら良いか」
断っておくが、メーカーの広告がマガジンXに入っているのではない。聞けば、他の媒体の広告を止めると、担当重役が、自社の出稿担当者に息巻いているのだそうだ。営業の事情は分からなくもない。 「分かりました。明日行ってきます」と、編集長に告げた。
そして翌日の夕刻である。件の会社の応接室で、担当重役と面会することになった。実は、すでに面会する前から、そのメーカーの東京の担当者、そして現地で合流した出稿担当者はものすごく気を使ってくれていた。二人は異口同音にこういったものだ。
「年末の忙しい時に申し訳ありません。記者を呼びつけるのは止めた方が良いと、具申したのですが、役員に聞き入れてもらえなくて。恐縮です」
先に応接室に入って待っていると、その役員は入ってきた。名刺を交換した後、しばらくの間、沈黙があっただろうか。その役員は、
「まぁ、よろしく頼むよ」と、一言。
拍子抜けである。もっと厳しい叱責が飛んでくるのではないかと身構えていたからだ。言ってきたら言い返してやろうとも思っていたが、実際のところバトルは起こらずじまいだった。それくらいの言葉しか憶えていない。役員の上からの物言いには正直言って呆れるが、利害関係者のこともある。私も
「こちらこそよろしく御願いします」と頭を下げた。このK取締役はすでに引退している。
その後、終電の時間を気にしながらも、東京の担当者と、二人だけの忘年会をやって、その街を後にした。この二つの事例は、自動車メーカー経営者の雑誌に対する姿勢の一端を見るようで、興味深い。
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