編集部blog
[2008/7/11]
【連載10】元「Xスクープ班」記者の、スクープ秘話

4-3)「ウラ広報」と軟禁事件

「あなたは○○自動車の広報の方ですか?あなたのお名前は初めて伺います」
「いえ、正確には広報ではありません。まぁ、渉外関係をよろずやっています」
「分かりました。お会いしましょう」
「必ず、おひとりで来てください。私もひとりで伺いますから」
というやり取りを終えて、1週間後の午後早く、指定されたホテルに赴いた。
新宿にあるビジネスホテルには、約束の10分ほど前についた。すると、フロントの前の小さなソファに、なんて言うのだろう。独特の雰囲気をもった中肉中背ではあるが、背広の上からでもそれとわかる、いかにも鍛えているなぁといったがっしりとした男性がいた。
目が合った。どちらから声をかけるともなく、めざす相手と分かった二人は、無言のまま会釈を交わす。その後、
「マガジンXさんですか?」
「○○自動車の△△さんですか?」
の簡単なやり取りをする。
「部屋を取ってありますので、そこでお話ししましょう」
そういうなり、彼はさっさとエレベーターに乗り込んだ。エレベーターの中でも沈黙が流れる。時間にしてみれば、おそらくわずかなことだったと思うが、それはとても長い時間のことのように思われた。客室の並んだ廊下を、彼に少し遅れて進む。無言である。
「どうぞお入りください」
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