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原点回帰かそれとも商業的戦略か? 華々しくお披露目されたBMWコンセプト1シリーズtii。つまり新しくデビューした1シリーズ・クーペに、スポーティな味つけをして『tii』という伝説のネーミングを冠したスペシャルモデルである。
「コンパクトだけどもスポーティで上質な速いハコ」、もともとBMWの魅力はそこにあった。しかし時代と共に位置づけは変わり、その最たる物であるはずの3シリーズはかつての5シリーズより大きく重くそして高価に成長していった。しかし根っからのBMWフリークは一抹の寂しさと不安を抱いていることは確かなのであった。このままの路線で突き進んでいいのか、この辺りで原点回帰したモデルが必要じゃないのか、と。
BMWがそう考えて本気で1シリーズ・クーペを出し、そして『tii』というスポーツサルーンの代名詞であったこのネーミングを復活させたのなら大歓迎である。乗り心地に代表される足まわりの不満を除けば1シリーズはまずまずの出来だと思われるし、4360×1748×1408mm(欧州135i)というコンパクトなスリーサイズで3シリーズとはまた違った軽快なフットワークを見せてくれるはずだからである。
メーカーはこう力説する。1シリーズtiiは俊敏で軽やかで若々しくて、それにモータースポーツのエッセンスを目一杯詰め込んだ、と。エンジンフードやドアミラー、フロント/リアのインレイ、リアのガーニーフラップはカーボンファイバー製。またフロントエアダムやサイドシル、リアリッドは新しくデザインされ、リア下部にはディフューザーを、そしてエンジンフード両サイドには2本のフィンを装着。一見ノーマルと同じように見えるキドニーグリルも内側のルーバーが取り除かれ冷却エアが流れ込むよう変更されている。
インテリアはドアハンドルやステアリングホイールのスポーク部にホワイト仕上げのカーボンを使用し、4座ともバケットとされたシートはアルカンタラとレザーのコンビ、それにシートの縫い目やシフトレバーなどにブルーを使いアクセントとしている。さらにはボディの各部に入れられた装飾ストライプや、ブレーキキャリパー&ホイールボルトといった部分にも色をさしている。そう、BMWのアイデンティティであるブラック/ホワイト/ブルーの3色を効果的にちりばめているのだ。
確かに凝っている。凝っているけど何か腑に落ちない点がある。それは安易な商業ベースに乗った戦略の影がチラチラ見え隠れすること、である。ワタシが描いた論法はこうだ。時代の要請で大きく高くなり過ぎた3シリーズの下に、若い人たち用のモデルを置きたい。在り物を使い1シリーズを製作。意外と粗利が少ない。それにAクラスのヒットと較べると物足りない。もっと売れて利益率の高いモデルが欲しい。1シリーズにトランクを無理やり追加してクーペとする。と同時に聞こえのいい懐かしの名前を与えた派手なモデルでアピール。tiiの完成。
これは正しいかもしれない正しくないかもしれない。逆にそれらを十分理解した上であえて騙されたふりをして応援する、という手もある。根っからのBMWフリークであるならば。1シリーズtiiに強く心惹かれながらも何か釈然としない、あくまでも元BMW乗りの戯言である。
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