【連載33】元「Xスクープ班」記者の、スクープ秘話
(12-3)もうひとつの「黒革の手帳」
われわれはマスコミである。以前にも書いたが、間違っても取材源を明かすことはない。相手の事情にもいちいち言及などしない。だから、当たり前だが、こちらから取材源が困るようなことは、何があってもしないのである。警察権力も憲法で保障された「報道の自由」に踏み込むようなことは、めったにしない。
(12-3)もうひとつの「黒革の手帳」
われわれはマスコミである。以前にも書いたが、間違っても取材源を明かすことはない。相手の事情にもいちいち言及などしない。だから、当たり前だが、こちらから取材源が困るようなことは、何があってもしないのである。警察権力も憲法で保障された「報道の自由」に踏み込むようなことは、めったにしない。
(12-2)もうひとつの「黒革の手帳」
そもそもの動機は、被疑者の自宅マンションに、私の名刺があったことと、私との関連性を被疑者が捜査官に話したために、関係先を捜索したということであった。もっとも、被疑者と私との間に面識はないし、こちらもたまにスクープ情報をくれていた被疑者の個人情報について、その真贋も含めていちいち詮索などしない。知らないことが一番の機密保持になることは、スクープ記者の基本としても、また経験的にも知っているからだ。
(12-1)もうひとつの「黒革の手帳」
20年におよぶスクープ担当記者の歴史の中で、後にも先にも、「家宅捜索」を受けたのは、13年前のあのときだけだ。編集部にガサ入れされたのはもちろん、私の自宅にも捜査員はきた。
11-4)メーカー上層部を怒らせ、呼び出しを喰らう
こんなこともあった。暮れも押し迫ったある年の12月28日。この日はご多分に漏れず、編集部も仕事納めである。
実は前日に広告営業の担当者から連絡があった。
「マガジンXのスクープ記事にメーカーの担当重役が怒っている」
「本社まで謝りに来いと言っているが、どうしたら良いか」
断っておくが、メーカーの広告がマガジンXに入っているのではない。聞けば、他の媒体の広告を止めると、担当重役が、自社の出稿担当者に息巻いているのだそうだ。営業の事情は分からなくもない。
「分かりました。明日行ってきます」と、編集長に告げた。
11-3)メーカー上層部を怒らせ、呼び出しを喰らう
以前の連載で「ウラ広報」の話しをしたけど、外国人が社長のあるメーカーでは、マガジンXにスクープされた直後に、「○○自動車から依頼を受けてきました」と、編集部に乗り込んできた人がいた。
11-2)メーカー上層部を怒らせ、呼び出しを喰らう
いまでは当たり前になっている開発現場への「カメラ付き携帯電話」の持ち込み禁止。そのエリアに入る手前では、厳重な監視のもと、持ち物チェックが行われ、カメラ付き携帯電話は、すべて守衛に預けなければならない。もちろん、機密保護のためで、これは従業員も含めて例外はない。
11-1)メーカー上層部を怒らせ、呼び出しを喰らう
自動車メーカー内部の人に聞いた話しだ。
今ではもちろん、そんなことはないのだが、かつては工場の従業員専用の入口はほとんど、フリーパス状態だった。当然だけど、守衛は立っているし、従業員は写真付きの身分証明書(ID)を胸に着けている。にも関わらず、スルリと入れてしまうのだ。なぜか。
10-2)玉石混淆スクープ情報の、目利き力
編集部では、得られた情報の分析も徹底的に行う。詳細は企業秘密だけど、スクープ班には、各自動車メーカー開発チームの詳細なデータがあるし、例えば図面の傾向とか仕様も、それぞれ異なるけど、スタッフはそれを見極める目を持っている。
とはいえ、まれにミスることもあるな。
10-1)玉石混淆スクープ情報の、目利き力
スクープ班の手元には、毎日のようにいろいろな情報が届く。とくに私の現役の頃は、いまのようにインターネットが発達していたわけではなかったから、やりとりはもっぱら、電話、FAX、手紙などだ。もちろん必要なら、自ら出かけていって、情報提供者と面会することもしばしばあった。
9-2)「出禁」と「車貸禁」攻防戦
この話しを憶えていらっしゃる方は、相当のマガジンXエンスーである。
10年以上昔、本誌に「コンシューマーズ・テスト」という企画があった。専門誌として初めてクルマを水の中にダイビングさせて、脱出を試みたり、また火災を発生させたり、雷を落としたりもした。実車を原寸大のラジコンに仕立ててテストしたこともあり、この模様はテレビでも放送されたことを思いだす。
9-1)「出禁」と「車貸禁」攻防戦
意外かもしれないが、マガジンXが自動車メーカーの相当厳しいスクープを掲載したからと言って、露骨な形での「広報部出入り禁止」や「広報車貸与禁止」となったことは、私の記憶の範囲では、ない。
もちろん、なんとなく面会を避けられたり、そもそも広報車をはじめから貸してもらえなかったりと言う、いやがらせは年中行事である。
そんな中、過去に二つの象徴的な事柄があった。
8-2)クルマ業界人から好悪が激しい「マガジンX」
販売会社の営業マンにも、熱烈な読者は多い。彼らは当たり前なのだが、自社の扱い商品の情報はある程度知っている。「ある程度」と書いたのには、わけがある。「1カ月前ルール」というのをご存知だろうか。
8-1)クルマ業界人から好悪が激しい「マガジンX」
スクープ記事が柱のマガジンXだけに、皆さんのような一般の読者だけでなく、業界関係者の方々にも好評をいただいている。もっとも自社について批判されていることも少なくないので、「密かに愛読」して下さっている方もいるようだ。その主な人たちが「開発者」と「ディーラー営業マン」の方たち。
7-2)耐寒テストコース
ホンダの鷹栖テストコースにも思い出がある。このコースは幹線道路からの取り付け道路が1本しかないんだ。どんなクルマでも、テストコースに近づきたかったら、その道を通るしかない。
7-1)耐寒テストコース
耐寒テストコースの二大ポイントと言えば、やはりトヨタの士別テストコースと、ホンダの鷹栖テストコースだろう。
[トヨタ]士別試験場
http://www.toyota.co.jp/jp/facilities/facility/05.html
[ホンダ]四輪開発センター(プルービンググラウンド鷹栖)
http://www.honda.co.jp/group/AutomobileRandDCenterPGTakasu/
もちろん、スクープ記者にとっても、ふたつのコースに対する思い入れは深い。
まず士別テストコース。ここには、スクープのポイントがある。
6-3)混浴露天風呂でネタ収集
スクープ写真を撮るためには、やはり情報収集が不可欠である。耐寒テスト写真を撮りたいと思ったら、まず近くの宿に泊まる。もちろん、真の目的はあかせないけどね。
6-1)混浴露天風呂でネタ収集
といっても、決して女性と混浴するのではない。混浴する相手は、自動車メーカーの開発者たちである。
北海道には、国内自動車メーカーの耐寒テストコースが集結している。部品メーカーや二輪メーカーまであわせると、ゆうに10カ所は超えるのではないか。
5-2)マスコミ向け事前撮影会
例えば、北海道のテストコースなんかで、こうしたイベントを実施する場合は、原則として「アゴアシ付き」である。現地までの交通費や宿泊費は、主催する自動車メーカーが持つことが多かった。多かったと書いたのは、昨今、メーカーも広報予算が削られてきているため、現地までの費用を負担しないところも出てきた。とくに輸入車を扱う「インポーターにこうした傾向が今年は顕著に表れている」(ある売れっ子評論家)らしい。経費削減の波はこうしたところにも如実に表れている。
5-1)マスコミ向け事前撮影会
雑誌は、当たり前だが実際に取材して、記事を書いてから、書店で販売されるまでに時間がかかる。通常だと1週間は見なければならないから、雑誌に掲載されている記事は、どんな新しいものであっても1週間以上前のネタである。ところが、新車記事を読んでいると、雑誌の発売日の前日に発表されたようなクルマの紹介記事が載っていたりする。車種が複数あることもめずらしくない。皆さんも、気づいたことがあるのではないだろうか。そのカラクリはこうだ。
4-6)「ウラ広報」と軟禁事件
それから4.5日が経っただろうか。Fからの電話が鳴った。
「もう一度会いたい」
という。同じホテルの同じ部屋で待っているから、来てほしい、というのだ。
4-5)「ウラ広報」と軟禁事件
「電話でご指摘したスクープ記事のネタ元を明かしてもらいたいのです」
あくまでも丁寧語である。だが、取材源を明かすことは間違ってもない。このことこそが、ジャーナリストがジャーナリストとして生きていくための鉄則であり、生命線であるからだ。一線を退いていま言えることは、現役時代に一度たりとも、取材源を明かしたことはなかったということだ。これだけは誇れる。
「それはできない。そのぐらいことは渉外をやっていらっしゃればおわかりでしょう」
4-4)「ウラ広報」と軟禁事件
新宿のビジネスホテルのある部屋の前で立ち止まった「自動車メーカーの渉外担当を名乗る男」に促され、部屋の中に入る。意外だった。
普通のビジネスホテルの部屋だと思っていたのだが、その部屋には、ベッドもなければ、机もない。あるのはユニットになった洗面所とトイレ、風呂だけである。床のカーペットのシミが妙に緊張感を醸し出してくれる。彼が後ろ手に閉めたドアの「カチッ」というロック音が緊張感をさらに盛り上げる。心臓の鼓動が聞こえてくる。最早、緊張感は恐怖感に変わってきた。
4-3)「ウラ広報」と軟禁事件
「あなたは○○自動車の広報の方ですか?あなたのお名前は初めて伺います」
「いえ、正確には広報ではありません。まぁ、渉外関係をよろずやっています」
「分かりました。お会いしましょう」
「必ず、おひとりで来てください。私もひとりで伺いますから」
というやり取りを終えて、1週間後の午後早く、指定されたホテルに赴いた。
4-2)「ウラ広報」と軟禁事件
車雑誌の編集部とメーカー広報部がもたれ合った結果、何が起きたか。同時期に発売される自動車雑誌には、同じ時期に撮影されたおなじナンバーをつけた広報車がグラビアを飾ることになり、読者からすれば、どの雑誌を見ても同じという、雑誌側から見ればありがたくない印象を与えてしまうことになった。
4-1)「ウラ広報」と軟禁事件
さて、今回の話しは「ウラ広報」について。「えっ!? 広報にオモテとウラがあるの?」あるんだ、これが。
3-2)スクープ情報が集まるスポット
前回とは別のメーカーでの話しである。そこの本社工場は、田舎には違いないのだが、JRの駅からそんなに遠くないところにあった。とは言っても、大した街でもない。こうした駅で必ずと言ってよいほど、存在するお店があるが、おわかりになるだろうか?
2-3) 「スクープのメッカ」での攻防戦
「N島公園からスクープが撮れる」、こんな話しは業界ではあっという間に広がるものだ。まだマガジンXが創刊される以前から、この公園は「スクープのメッカ」と呼ばれるようにさえなっていた。新型車スクープは、別にマガジンXの専売特許でもなければ、マガジンXがパイオニアでもなんでもない。N誌やD誌の方が早くから、新型車スクープをとりあげていたものだ。
2-2) 「スクープのメッカ」での攻防戦
皆さんも想像に難くないと思うが、メーカーのテストコースと言えば、秘密を守るために、高い塀と有刺鉄線を敷地の周りに張り巡らせ、外部からの視線を遮るように工夫されているもの。配置にも気を配っていて、コースの周辺に俯瞰される場所がないような場所を選んで、建設される。だが、N社のO浜工場は違う。
2-1)「スクープのメッカ」での攻防戦
スクープ担当編集者、あるいはスクープカメラマンにとって、現役当時、その訓練の場、あるいは登竜門として名高かったのが、N社のO浜工場だ。ま、Xの読者に取っては超有名どころ、言わずもがな、って感じかな。
1-2)戻ってきた「黒革の手帳」
ごく最近のことである。Xのスクープ担当記者だった私宛に、分厚い封筒が送られてきた。差出人は○○署。封を開けてみると、中にはなつかしい手帳と、1枚の薄っぺらい紙切れが入っているだけであった。「証拠品返却書」と書いてあったと記憶している。ページの各所には、警察がつけた細い付せんが貼付けられたままになっていた。
「付せんくらい外して送り返してくれば良いのに、めんどくさいのかね?」
ぼやきながら、中を見ると…。

1-1)戻ってきた「黒革の手帳」
もう何年も前のことだ。私に新型車情報を送ってくれていたAが検挙された。そのときの模様は鮮烈に覚えているのだが、今はまだそのイヤな記憶を思い出したくはない。
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