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2008年06月27日

【連載11】元「Xスクープ班」記者の、スクープ秘話

4-4)「ウラ広報」と軟禁事件

新宿のビジネスホテルのある部屋の前で立ち止まった「自動車メーカーの渉外担当を名乗る男」に促され、部屋の中に入る。意外だった。
普通のビジネスホテルの部屋だと思っていたのだが、その部屋には、ベッドもなければ、机もない。あるのはユニットになった洗面所とトイレ、風呂だけである。床のカーペットのシミが妙に緊張感を醸し出してくれる。彼が後ろ手に閉めたドアの「カチッ」というロック音が緊張感をさらに盛り上げる。心臓の鼓動が聞こえてくる。最早、緊張感は恐怖感に変わってきた。

とはいえ、ここは平静を努めて装わなければならない。こっちだってこんな局面は初めてではない、いやウソだ! 初めてである。
「上京したときに、こんな風に良く使う部屋なんですよ」
その御仁は、地方に本社がある自動車メーカーの本社に勤務していると言う。たしかに交わした名刺には、メーカーのロゴと彼の名前が刻まれていた。仮にFとしておこう。
Fは部屋の傍らにあらかじめ置いてあったパイプいすをふたつ取り出しながら、
「まあ、あまり構えないでください。別に危害を加えたりはしませんから」
そうは言われても狭い部屋に筋骨隆々の身も知らぬ男と二人きりである。そう簡単には行かない。
夏の暑い盛りだったと記憶している。ホテルに着くまでに、上着の下のワイシャツは汗で濡れてしまっていた。冷房の効いた部屋に入ったせいもあるのだろうが、極度の緊張感で、汗腺が縮み、今度は冷や汗が出てくるのが自分でも分かった。
「早速ですが・・・」
入口近くに席を置いたFは切り出した。逃げ出せる可能性はない。
「電話でご指摘したスクープ記事のネタ元を明かしてもらいたいのです」

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