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2007年10月16日

あと一歩前進すれば……、プジョー207GTi

207GTi.jpg


プジョー207GTiの評価は両極である。ヨーロッパでは「期待外れ、大切な物が抜けている、もうプジョーにハンドリングを決められる人間はいない」と散々。ひるがえって日本では「伝統のネーミングGTi復活、プジョーならではのネコ足が秀逸」など、広報資料丸写しの上っ面をなめただけの記事がほとんど。じゃあ、本当のところはどうなんだろう? 自分の目で確かめてみたくなった。

GTとの最大の違いは足まわりのチューニングである。限界を超えるとリアがポンポン跳ねる上にフロントのトラクションが掛からずドタバタしっぱなしだったGTと較べると、GTiはリアサスを使いながらもスムーズにゆっくり流れ、スロットル&ブレーキで姿勢制御が可能。フロントが全体を支配するプジョー独特のフィーリングが復活している。

確かに乗り心地は固い。けれどもスプリングやダンパー、スタビを強化し、リアのクロスメンバー剛性をアップさせた足まわりと、205/45R17のブリヂストン・ポテンザRE050Aというハイグリップタイヤを履いているにもかかわらず、チューニングが上手くいっているのだろう、固いなりにもフィーリングは悪くない。

ただ、オーバーステア時にカウンター側にステアリングを切るよう促がすシステム(SSP)は感知できず。ワタシのセンサーが鈍いのかドライビングスタイルが嫌われたのか、その働きを体感することは残念ながらできなかった(読者の皆さん、ゴメン)。


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エンジンはEP6DTS型。ご存知の通りミニ・クーパーSと同じ175psの出力と240Nm(オーバーブースト時には260Nmに)のトルクを絞り出す。またタービンハウジングの形状や素材が見直され、マネージメントはボッシュ製のMEV17.4となる。が、数値ほど驚くべき速さを持っているわけではない、というのが正直なところ。体感スピード&パワーはGTとさほど変わらず、プラス25psはトップエンドで少し良くなったかな、という程度。トルク感も少々心もとない。タイムを計れば間違いなく速いはずながら、公道では微妙という表現となる。

つづいてエクステリア。ダーククロームとされたヘッドライト、9本スポークの7J×17インチAW(Pitlane)、シルバー塗装されたドアミラー、ブラック仕上げのBピラー、ダークティンテッドガラスとなったリアクォーターウインドウ、クローム仕上げのツインエキゾースト、ボディ同色ルーフスポイラーなど、あらためてノーマルとの違いを列記すればそれなりに変わっているものの、パッと見はノーマルと変わらず。特にグレー系は恐ろしく地味な印象。もっとGTiならではの演出が欲しい。

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逆にやる気まんまんなのがインテリアである。もっとも目につくセミバケットシートは自社製。良いか悪いかは別としてGTよりグッとアイポイントが下がり、個人的にはありがたい変更である。ナゼなら先代の206RCではヘルメットを被ると天井に当たりそうだったから。素材はサイドサポート部が本革、座面とシートバック中央がアルカンターラ。座面形状やサポート部の固さは及第レベルで、シートおよびレール自体の剛性も必要十分。それにヨーロッパ人には若干小さいと思われるサイズも、逆に日本人にはジャストサイズ。

ただ気になる点も少し。大きすぎるサポート部の出っ張りは、位置によっては車線変更の際に後方視界の妨げとなるし、リアシートの荷物を取るにはサーカス並みのアクロバティックな姿勢を強いられることとなる。それに前部分を支点に動く上下調整は明らかに手抜き。前後別々に設定できるのが基本である。また右にオフセットされたぺダル類との位置関係も良いとは言えず。

ちなみにセンターコンソールの両フチに配されたソフト素材は悪くないと感じる。ナゼなら最近はデザイン優先、あるいはコスト優先でカラダが接する部分の配慮に欠けているクルマが多いから。こういったところでクルマの印象がガラリと変わる。

最後に電気式パワステ。出始めのころと較べれば少しづつは進歩しているよう。切り始めの迷いも減り、低速から高速までスムーズにアシストするように。もっとも年配の人や女性のなかには重すぎると感じる人も少なくないだろうし、路面からのインフォメーションを伝えてこないのもあいかわらずである。


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「あともう少し街中での乗り心地が良くなれば……」これがワタシの207GTiに対する結論である。そう、初期入力があった際の縮み側のダンパー&スプリングのチューニングを再検討して欲しい、というのが偽らざる感想。もちろん限られた人たちのマニアックなクルマという観点からすればもっとスパルタンでもいい、そう評価する人たちがいることは知っている。でも、それは逆なのである。この手のクルマに興味を持つような人たちは、見せかけだけのクイックなハンドリングを演出するアライメント設定や、インチキチューニングカーのごとくガチガチに固められた足まわりなど、そんなシロウト騙しは欲していないのだ。本当に必要なのは街乗りではしなやかで快適に、でも本気モードになるとスポーツカーを凌駕するほどのハンドリングをもつ、そんな上質で奥の深いクルマなのである。

そう考えると207GTiの方向性は間違っていないと感じる。あともう一歩前進すればいいだけ。たとえGTと較べて圧倒的な性能差が感じられなくとも、その割に56万円もの追加料金が必要であろうとも、さらには普段使いでシートが邪魔し家族から不満が出たとしても、やっぱりGTiはクルマ好きにとって捨て置けない存在と断言していい。ヨーロッパ市場におけるベーシックグレードが日本に輸入されていない以上。ただ悩ましいのは、現在もっともチューニングの妙を見せるゴルフV GTIがほとんど同じ値段で買えるということ、だろうか。(Honkan)

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