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2007年05月23日

アンダー地獄から解放された初のゴルフ!?

「どアンダーの呪縛から解き放たれた初めてのゴルフ」。歴代ゴルフの足周りのリセッティングでさんざん苦労させられたワタシにとって、これは捨て置けない事件(!?)である。ウォルフスブルグの巨人は「高速走行時の安定性」という印籠(いんろう)を武器に、歴代ゴルフ、いやFWDとなってからのほとんどのフォルクスワーゲン車を徹底的なアンダーステアに躾けてきた。前荷重にして進入しようが途中でブレーキを踏もうが、まず先にフロントが流れ、リアはブレイクする素振りさえ見せなかった。

ひるがえって五世代目ゴルフGTIである。「これ以上、何を望む!?」と思わず口に出してしまうほどの仕上がり。望めばブレーキでもスロットルでも向きが変わり、アンダー&オーバー自由自在、しかもその挙動は素直のひと言。過激な演出はないがドライバーの意志に忠実。加えて自社製というバケットシートは断面構造/サポート性/調整機能とも及第点以上で、剛性感のあるペダル類はヒール&トゥのためにしつらえたかのようなレイアウトを持つ。また未成熟な電気式パワステがはびこる昨今、油圧式に優るとも劣らない制御をみせる(ただインフォメーションの伝達は再考の余地あり)のも心強い。これならレース当日にいきなりキーを渡され、「ワンアタックでタイムを出してこい!」と鬼のような監督に言われても、スロットルを踏む右足が躊躇することはないだろう。

もちろんボディの剛性感は充分以上で、良くアシが動いているのが解るし、ノーマルと較べればスプリング&ダンパーは締め上げられてはいるものの、乗り心地のマナーは期待以上。当然のことながらリアサスにマルチリンクを採用したのも、悔しいけれど(?)効いている。多少コストはかかるし重量もかさむものの、この振舞いを見せつけられると納得せざるをえない、というのが正直なところ。そしてブレーキ周りもストリートでの使用を前提としたのなら必要にして充分。絶対的な制動力、コントロール性、そして電子デバイスの介入も控えめで、止めるブレーキと曲げるブレーキの使い分けも上々。もちろんEPSの解除も可能である。

何ひとつ不快なところがない、何ひとつ戸惑うところがない……、五世代目のゴルフGTIを表現するとこうである。ただ、そういった優等生ぶりに『刺激』が足りないと感じることも確かで、ハニカムグリルやブラックアウトされたノーズは初対面の人を驚かせるには充分な演出ながら、リアはフロントばかりに気を取られてデザインするのを忘れてしまったかのようだし、それにクセのないハンドリングも鬼のように曲がるクルマから乗り換えると、おいしいけれど冷やすのを忘れたビールのよう。それが良くも悪くもゴルフGTIの伝統と言われればその通りなのだけど、一&二世代目はもう少しエモーショナルな部分が多かったように感じる。

たとえばルノー・メガーヌRSトロフィー、たとえばアルファロメオ147GTA、ライバル視されることの多いこの2車と較べたとすると、ワタシはこう結論づけるハズである。1週間だけ広報車を借り出すなら147GTAを、自分のガレージに収めるならメガーヌRSトロフィーを、そして友人に薦めるならゴルフGTIを、と。
(Honkan)

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