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2007年04月05日

三世代目ルーテシアの○と×『ルノー・ルーテシア1.6(MT/5ドア)』

Lute_1w.JPG


「さすがのルケマンも日和ったか?」三世代目となったルノー・ルーテシアのエクステリア・デザインを初めて見た時の正直な感想である。メガーヌの潔さを望むべくもなく、全体的な印象は平凡、いわゆる万人向け。最近のルノーらしくない守りの姿勢に落胆の色を隠せないのであった。ちなみにルケマンとはデザイン部門の統括者でありルノー社の重鎮、その斬新さで世界を驚かせたあのアヴァンタイムやベルサティスを送り出した張本人である。

わりやすく言えばプジョー207ほどグロテスクじゃなく、フィアット・プントほどスタイリッシュじゃない。三世代目ルーテシアの印象を表現するとこうである。それに小さいことが美徳だった先代よりふた回りほど大きくなったサイズも賛否両論。ミラーtoミラーは200ミリもある。ただ、第一印象より長く付き合っていくとそれらしく見えてくるのも確かで、大きくなったボディもひと昔前のCセグメントだから大き過ぎると言うことはないはず。

ドアを開けて乗り込む。開閉のフィーリングはなかなか重厚。ボディの剛性感は着実に上がっている。インパネの造形もまずまず。メーター周りやエア噴き出し口、ダッシュボードはクローム処理され、エア調整ノブはスカッシュボールをイメージするという遊び心も。またダッシュボードはクラッシュ時でも内部のメカが飛び出してこないくらいの厚さと強度を持つ。全体的に国産車よりはシンプルながら手抜きは感じられず、たとえるならデザインより素材にお金を掛けたワンピースといった雰囲気。そして内気循環と花粉フィルター付きエアコン、CD付きオーディオ、本革巻きのステアリングホイール&シフトノブなどが備わる。

シートは皆さんがイメージするフランス車のふかふか(!)ではないものの、高価な素材や凝った構造を持っていないにもかかわらず、腰のサポートや表面処理は及第レベルに達しているし、身長170センチのワタシが座ると10センチ近いヘッドクリアランスが生まれる。もちろんリアシートの居住性もまずまずで、兄貴分のメガーヌより閉塞感は少ないくらい。ちなみに背もたれを倒してもフルフラットにはならないのは、シート下に大きな盛り上がりがあるから。ナゼならクラッシュ時にパッセンジャーがシートベルトの下に潜り込まないようにするためである。この辺りが日本車と違うところ。

ただし見逃すことが出来ないのはペダル周りとパワステである。クラッチのミートポイントとペダル角度がチグハグな上、低回転域でのトルク特性が頼りなく、マニュアルトランスに慣れている人でもエンストしやすい傾向を持つし、出始めのころと較べれば少しづつ進歩しているとは言いながら、低速域でのアシストがまだ不自然で、まるでゲーム機のように無機質なパワステは人間の感性に反している。


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エンジンはメガーヌに積まれている物と同じK4Mと呼ばれる1.6リッター4気筒。バルクヘッドから一枚のウレタン素材でコクピットを包み込んでいるおかげでなかなかの静粛性。AT仕様だと完全にひとクラス上のレベル。また最近のクルマとしては細いAピラーのおかげで視界は良好。これでクラストップの衝突安全性を確保しているというから、ルノーのエンジニアあなどりがたし、である。

そして先代より100キロ以上重くなったとは言いながら、ヨーロッパ車の常で「重厚な2リッター、活発な1.6リッター」の法則が当てはまり、5速をめいっぱい使えば歯がゆさはまったくなし。コーナリング姿勢もフラットで、8割程度のスピード域なら大きくロールせずアシの動きだけで制御してしまう感じ。吸いついているかのように路面を追従する。それに何より見事なのはリアサスの使い方、である。かなりの領域まで粘るのに、トーインでごまかしたクルマのようにトントン跳ねもせず、スロットルのON&OFFで自由自在にコントロールが可能。形式で言えば誰も見向きもしない古くさいトレーリングアーム式ながら、である。「マーチとのシャシーの共有」というアナウンスに気が気じゃなかった人たちも、これなら枕を高くして寝られるはずである。

多少煮つめが足りないところ、ディーラーのスキルアップの熱望……、ネガティブ面はゼロではないものの、それでもワタシは『クルマ好きのアシ』としてルーテシアを薦めたい。ルノーはクルマの本質という点を充分理解しているメーカーだから。いや、官能的にはほど遠い心臓部を持ちながら全開で走らせると奧の深いシャシーマナーで、まるでミニスポーツカーを走らせているかのような錯覚を起こさせる上、最近のルノーとしては堕落したかのような平凡なエクステリアも、見慣れてくるとスポーツクーペ(?)と勘違いしてくるから摩訶不思議。特にシルバーの3ドアは。さらにルーテシアには“奥の手”がある。そう2リッター197馬力ユニットを搭載したルノースポールバージョンである。

免許取り立ての女性ドライバーから百戦錬磨のベテランまで、あらゆる人たちを魅了する、それが三世代目ルーテシアである。
(Honkan)


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