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2007年03月19日

サソリの実践飼育記(Vol.1)

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たった1リッターあまりの排気量にイタリア的な楽観表示の70馬力。もちろん大昔の軽自動車に毛が生えたくらいのちっぽけなボディは、いつ土に帰ってもおかしくないほどサビが進行し、環境にやさしいクルマと言うことをアピールしているかのよう。目まぐるしく変わり続けるショービジネスの世界にたとえれば、『あの人は今!?』にさえ引っかからない忘れ去られたアイドルである。

しかも50万円で手に入れたクルマに、大規模な初期化から始まり、たびたび襲う予期せぬトラブル、トランスミッションのオーバーホール……などで、すでにビアンキ・アバルトに注ぎ込んだ金額は250万円以上。まったくもって、真夏の暑い日にアイスコーヒーだと疑いもせず一気に流し込んだそれが、こともあろうにそばつゆだった時のように、ゴミ箱に投げ捨てることをしない自分自身が不思議でならない。一般的な感覚の持ち主なら、まったく理解できない行為である。

しかしこの20年以上前のイタ車は、ワタシにとって単なる下駄グルマでもなければ鑑賞用のクラシックカーでもなかった。それはアドレナリン湧き上がるスポーツカー。

けたたましくフロントアクスルを振るわせ加速する様は、さながら爆竹が口の中で暴れまわるような感覚だし、ヨーのコントロールを自在に操れないドライバーを拒むがごとくトリッキーなハンドリングは、Fドリを存分に堪能させてくれる。特に高速コーナーでの3速100km/hオーバードリはハッキリ言ってシビレる。タイトなサーキットなら今どき2リッター車をカモれるほど。

燃費だって悪くない。都内の慢性的な渋滞の中でもリッター当たり16kmを切ったことがないし、カントリーロードを流すシチュエーションならリッター当たり22kmをマークする。「有名大学を出た優秀なエンジニアが雁首そろえて何やってるの!? あなたたちが自信満々に送り出す最新モデルと変わらないじゃない」と、皮肉のひとつも言いたくなる。

この忘れ去られたアイドル、正式名称をアウトビアンキA112アバルトという。伝説のメーカーであるアバルトの中でも末席に位置するクルマである。けれども、限りない喜びと刺激をワタシにもたらしてくれる(ちょっとした試練も)、唯一無二の存在なのである。

といったところが『サソリの〜』の第一回目。これからビアンキ・アバルトとのドタバタ奮戦記をお伝えしていけたら、と思っているので、ちょっとでもおもしろグルマに興味がある人はお楽しみに。マガジンXを読むような、筋金入りのクルマ好きの皆さんなら、少しは理解してもらえると願いつつ、次回へ。
(Honkan)


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