防弾車両について
拳銃や小銃(小口径ライフル)の弾丸を防ぐ機能を持った防弾車両のトレンドを取材しました。
米海兵隊が「マジで使えるのはどれだよ?」という要求に応える内見会に潜り込んできたからです。
実際、我々の毎日の暮らしにはなんら関係ない方面のクルマではありますが、なにかが起きたときのためとか、知識として調達しときたいという欲求からですね見たかった理由は。
米本土、海兵隊の本拠地Q基地には多数の防弾車両が集結。
軍事大手メーカーからベンチャーまでの大出展が示すものは、湾岸戦争以降、いわゆるハイテク兵器の実戦大量投入で最新兵器の道を作ってきた米4軍が、RMA(軍事革命)と呼ばれるコンセプトのもと、イラクでの戦闘でも最新兵器導入に拍車をかけたことが理由その1。
その2は、更迭されたラムズフェルド元国防長官の鶴の一声で、リストラをしながらハイテク兵器の軍備だけは拡張し、少数精鋭主義を押し進めたこと。
その3は、上記の大所高所の方向性でイラクの戦闘は大勝利を収めたものの、戦後統治には失敗をしたブッシュ政権が、もはやこれ以上自国兵士の死傷者数を増加させられない、いわば政治的事情を抱えたことによる、とふんでおります。
なもんで、搭乗する乗員の命はキッチリ守る車両が必要、すんごい必要になった。
地雷を踏んでもキャビンは丸ごと防弾防爆処理を施されているので平気。
横から、RPG(携帯型ロケット)を撃ち込まれても装甲を極厚にしたので平気。
(なかには、ロケットが車体に接触する寸前に特殊ネットを展開し弾頭を包み込んで減衰、爆発を防ぐというモノまであった。有効性は不明。が、ストライカーという装甲車には鳥カゴ状の格子フレームを後付けし、車体周囲をぐるりと取り囲む。これはRPG弾頭の接触爆発を減衰するパーツで、ニュース映像などでも目に触れる機会が多かったもの。それを考えると効くのは確かなんだけど…)
エンジンルームで仕掛け爆弾が爆発しても、バルクヘッドと、続くフロアアンダーパネルはセラミック装甲にごっそり作り替えてあるから平気。
むき身でさんざんやられたトラックも、キャビンはセラミック装甲で外殻を作ってあるから平気。
というような装甲外殻機動車両の群れ。
キャビンを丸ごと防弾処理することをパッケージ化し、それをフォードF550へヴィデューティピックアップのラダーフレームに乗っけることで、市販車流用であっというまに防弾装甲車を作りだすパック方式なども定番になりつつある。
あるいは、防弾効果を発揮する繊維を練り込んだ特殊樹脂をドアパネルに流し込み、すき間をその樹脂で埋める。硬化後は、防弾ドアができ上がる技術。
カーオーディオインストール時のデッドニングもかくやの手法でこの樹脂をクルマのあらゆるすき間に充填すれば、西部警察も真っ青の軽量防弾戦闘マシンが完成する。
防弾処理技術だけで100点に迫ろうかというプレゼンを見ただけで満腹でありました。
かように、紛争や騒擾などの状況で「人を死なせること」が、政権を財政的にも人道的にも揺さぶる因子となったことを痛感します。世界最強の軍隊を持つアメリカがこうですから、防衛省となって海外派遣がマジでメインの「任務」となった日本の自衛隊にだって、もっと固いクルマが必要になるはずなんだがなあ(遠い目)
現状、イラク派遣に持っていった軽装甲機動車(コマツ製)も、5.56㎜や7.62㎜弾丸をストップできると言われるスペック以上の防弾装甲を追加しないと、現場自衛官たちはウカウカ仕事もしていられないことになるはず。
国策コンセプトとして派遣を常態化するなら、タクティカル面での使える装備を持たさなきゃ、無意味でありましょう。
気合いで何とかしろ、などと思っているなら、竹槍で重爆撃機に向かおうとした古のマインドと60年経っても変わらないことになります。
最前線も日本国民の兄ちゃん姉ちゃんたちなら、後方・銃後の我々だって日本国民なわけで、イーブンでしょ。
決して海の向こうの話じゃなくて、海の向こうの国際貢献がうまくいかなかったら、たとえばオイルショックの状況再燃などは容易に想像付くこと。
エネルギーと食糧の自給率は雀の涙みたいな我が国だから、マジで上手いこと立ち回らないといかん。
ならば、その現場で働く者たちには有効な道具を使って欲しいもんだと思うのです(貝方士)






