自衛隊業務車
パトカー取材と並行して、いつもの自衛隊取材もはじめている今日この頃。
編集部の近くの裏道からオリーブドラブ(モスグリーンとも言うか?)のスズキ・エスクード(現行型)が現れました。『珍しいカラーだ…エクストレイルみたいな色設定があるんだな』と、目前をゆっくりと走りすぎるエスクードを舐めるように観察しました。…なにかキナ臭い感じがします。特別なオーラも感じます。と言っても、覆面パトカーと接近したときの鳥肌が立つ感じとは異なります。
そのエスクードの後ろ姿、本来のナンバーが納まるそこには見慣れないプレートが…
横長のナンバープレートは防衛庁のものでした。
このエスクードは自衛隊の「業務車」なのでした。
業務車とは、つまり自衛隊のアシ車のこと。陸上自衛隊で言えば戦闘職種ではない職種、駐屯地の「業務隊」や「会計隊」、「音楽隊」などの職種の方々が移動や連絡、輸送などに使うクルマを業務車といいます。見覚えのある車種では旧型セドリック・バンが有名。丸目4灯のアレです。これを自衛隊では「業務1号」と呼称し、陸幕などの白いステンシルも鮮やかな常に洗車したてのセド・バンのことです。この業務1号は平成11年から代替わりが進み、現在はアベニールが取得数を延ばしています。あ、当然、90式戦車やイージス艦などと同じ防衛予算による調達ですな。
ほかにも「庁用車」と呼ばれる業務車で初期型プリウス、陸将などの将官クラスが乗る155クラウンなどもありますな。陸自車両というと戦車や装甲車、輸送トラックなどのイメージですが、戦闘業務以外の通常業務に装甲車が適しているわけはなく、これら業務車が必要なわけです。パトカーがすべて34GT-Rで済むわけが無いのと同じですね。
で、この業務車エスクードです。なんでエスクード? と思うわけです。セド・バンは人員・物資とも余裕で飲み込む使い勝手の良さがウリなんですが、エスクードはナニがよくて調達されたのか? そこが謎なわけですね。
理由の第一、そして理由のほとんどは、調達価格が安かったから、だとは思います。
一般入札の華全開といったところでしょうか。しかし、それじゃ身もふたもなく……
聞いた話で恐縮ですが…
1970年代。群馬県某所で自衛隊車両の研究開発がなされていました。
市販車を改造して、降雪地での使い勝手を良くするため、A社の車両にB社の部品をセット、4WDの機構を補完。10数台のこの基礎研究車両を元に市販車両の研究がスタート、登録証に「改」を添付した数台の車両が市販され、うち1台は運用試験車両として防衛庁に納入された…という話が。
この某メーカーで、この基礎研究車両の設計をした担当者はというと、元陸自の整備畑の人で、戦車など戦闘車両の整備を担った方だと言われている。
つまり、現場レベルで使いやすいクルマの提案をし、使える現物を作ってしまい、言わばプロト・プロダクツとして世に出した(らしい)というのが驚きです。強力なボトムアップとも言えましょう。ま、伝説に片足突っ込んでる匂いもあるのですが、話に説得力を盛るのは、自己完結能力を持つのが軍隊である、と知っておるからです。R&Dの分野でも強力なのが軍隊ですもん。事実、自衛隊は駐屯地等で使う枕もモデルチェンジを重ね、「まくら(改)」は7代目になります。
なんだか、内容がブレてきました(笑)
目撃した業務車エスクードにも、こういうプロフィールを感じたいのです。都内の本庁から富士の演習場の火山灰土まで、シームレスに行動できるのはスズキのSUVしかあり得ない、と駐屯地での即売会でエスクードが評判になったのが起点なのだ、とかがいいです(貝方士)





