最強の目覚まし
学生時代に、お香にはまったことがあります。音楽を聴いたり、友人と話をしたりする時に、良く焚いていました。ある日、同じくお香好きで民族系ファッションの友人と一緒に買い物をしていると、ハーブティーなるものをすすめられました。ハーブティー屋さんなるものがあり、自分で幾つかハーブを選んでミックスできるというものです。自分で選べる程にハーブに詳しくないので、その場では友人に選んでもらいました。家に帰ってから、セットで添えられていたティーバックみたいなものを利用してハーブティーを入れてみると、とても良い香りが漂ってきて、これは良いかもと口を付けてみると、はき出しそうな位に不味くびっくりしました。「まずっ!」思わず、一人でぼやくほどです。
自分の入れ方が間違えたのか、色々と試してみてもやっぱり不味い。これは、飲めたものではない、と大量のハーブを見ながら、こんなに買うんじゃなかった、と自責の念に駆られていました。大量のハーブが部屋の隅に追いやられてから、約10日くらいたった、とある夏の日。いつものようにお香を焚いている時に、ふと、「そうだ、ハーブを焚いてみるとどうだろう」と思い、少しだけ灰皿の上で燃やしてみると、なかなかいい香りが、これは良いと思い、巨大な灰皿を用意して、少しずつ焚いていたのですが、ふと面倒臭くなって、残った約20杯分のハーブを儀式ばりに一気に焚きました。煙が一気に立ち昇り、ものの10分で部屋は真っ白に、やりすぎたと思い、慌てて部屋の窓を全開にしました。その日は、蒸し暑い熱帯夜で、風通しが良く、そのまま窓を全開にして、眠りにつきました。次の日、何かの物音が気になって目を覚ましました。気のせいかな? と思いつつ、目を閉じて耳を澄ますとやはり、ぶ〜ん、カシャという音が聞こえるのです。音を追いかけ外を見ると、数匹のスズメバチが網戸に向かって入ろうと体当たりしています。密林の虎、南米の毒ガエルなど、自然界の恐ろしいものは、何故か黄色と黒の組み合わせが多く、きっと他の生物が単純に恐怖を感じてしまう色なのでしょう。寝起きの悪い自分が、慌てて目を覚まして、窓を締めてカーテンをしめました。しばらく、部屋には戻らず、数時間たってからそっとカーテンを開けてみると、まだいるのです。夜になるとさすがにいなくなるのですが、部屋からハーブの香りがとれるまでの2週間、毎朝その音で目を覚ますことになりました。ある時には、網戸と窓の隙間に入りこんできたこともあります。この期間の寝起きの良さは、JRの社員並みで、「寝起きに蜂」ということわざが作れてしまいそうなほど、ぱっと目を覚ますのです。寝起きの悪い人には、部屋でハーブを焚くことをおすすめします。(タツ)




